• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

急性膵炎に対するChymaseによる病態解明とChymase阻害剤の創薬化研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K09277
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分55060:救急医学関連
研究機関大阪医科薬科大学

研究代表者

米田 浩二  大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (70531896)

研究分担者 谷口 高平  大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (70779686)
高井 真司  大阪医科薬科大学, 医学研究科, 教授 (80288703)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード急性膵炎 / キマーゼ / キマーゼ阻害薬 / 重症急性膵炎 / 肥満細胞 / ハムスター / miRNA
研究開始時の研究の概要

重症急性膵炎は死亡率が未だ30%を超える難治病特定疾患である。蛋白分解酵素阻害剤が使用され多数の臨床試験が行われているものの明らかな治療効果は示されておらず、新規治療薬の開発が必要である。研究代表者はこれまでに、アンジオテンシンⅠをアンジオテンシンⅡに変換するキマーゼの機能解析及び、キマーゼ阻害剤の有効性の検証を進めており、肝線維化、脂肪肝炎、薬剤性肝障害、劇症肝炎との関連性を報告してきた。しかし、キマーゼの急性膵炎の病態における役割は明らかにされていない。そこで急性膵炎におけるキマーゼの役割とキマーゼ阻害剤の有効性を検証することで、急性膵炎の治療改善を目指した研究を行う。

研究実績の概要

2022年度は、前年度までに確立できた重症急性膵炎モデルを用いて、キマーゼ阻害薬であるTY-51469がL-アルギニン投与後24時間における生存率を有意に改善できることをRT-PCR法を用いた遺伝子発現量の解析により示すことができた。2023年度は、2022年度の本ハムスター重症急性膵炎モデルの病態とキマーゼとの関連性を病理学的・組織学的に解析することで組織学的に確認することを目的とした。具体的には、6週齢の雄性ハムスターに3.0 mg/kgのL-アルギニンを腹腔内に投与して作製する急性膵炎モデルを用いて、3.0mg/kgのL-アルギニンを注射する前と注射後1、2、8時間後の膵臓の好中球エラスターゼ陽性細胞(好中球)の数(注射前:n=6、1時間後:n=6、2時間後:n=6、8時間後:n=5)を計測した。結果、組織切片中、キマーゼ陽性細胞は2、4、6、8時間後に増加が、好中球数はL-アルギニン注射1時間後に多い傾向があり、2時間後と8時間後に有意な増加が観察された。トルイジンブルーで染色した組織切片(肥満細胞)および抗キマーゼ抗体で免疫染色した組織切片(キマーゼ陽性細胞)の観察から、コントロール、プラセボ、およびTY-51469を投与したハムスターの組織切片中のキマーゼ陽性細胞の数は、プラセボ投与群よりもTY-51469投与群で有意に少なかった。
L-アルギニン投与後8時間における組織キマーゼ活性についても検討したところ、TY-51469投与群において、プラセボ群と比較し優位にキマーゼ活性が抑制されていることが確認された。
以上のことから組織学的にも、キマーゼ阻害薬であるTY-51469により組織キマーゼが抑制され、キマーゼ活性が抑制されることで炎症関連因子が抑制されることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度は、L-アルギニン投与によるハムスターの急性膵炎モデルを確立することができた。2種類の濃度のL-アルギニンを用いて、重症急性膵炎モデルを作成した。そのモデルを用いてキマーゼ阻害薬であるTY-51469がL-アルギニン投与後24時間における生存率を有意に改善できることを示した。
2022年度は、本ハムスター急性膵炎モデルの病態とキマーゼとの関連性を解析することを計画した。具体的には、6週齢の雄性ハムスターに3.0 mg/kgのL-アルギニンを腹腔内に投与して作製する急性膵炎モデルを用いて、L-アルギニン投与後12時間の時点で炎症関連因子であるMyeloperoxidase (MPO)、Tumor necrosis factor (TNF)-α、Matrix metalloproteinase (MMP)-9とキマーゼの遺伝子発現量を解析した。その結果、L-アルギニン投与前に比べてこれらすべての遺伝子発現量が有意に増加し、そして、キマーゼの遺伝子発現量とMPO、TNF-α、MMP-9の各遺伝子発現量と極めて強い正の相関を認めることが確認できた(MPO:r=0.958、TNF-α: r=0.977、MMP-9:r=0.987)。これらの炎症関連因子はキマーゼ阻害薬であるTY-51469により抑制されたことより、本モデルの急性膵炎モデルの炎症にはキマーゼが深く関連する可能性が示された。

今後の研究の推進方策

2024年度の研究計画は、これまでに研究したTY-51469を用いた急性膵炎に対する治療効果を他の急性膵炎モデルでも再現性のあるものかを検討することである。具体的には、タウロコール酸ナトリウムや胆管結紮モデルなどを用いた検討を予定している。さらに、miRNAや炎症関連因子の網羅的解析装置を用いて、その病態生理の詳細な研究を行う予定である。
また、重症膵炎生存後の慢性膵炎に対する治療効果、再発予防効果についても検討したいと考えている。なぜなら、キマーゼはステロイドと同様に炎症関連因子を抑制的に作用するが、長期的使用によるステロイドのような易感染性などは現在あまり研究されておらず、本モデルにおける急性膵炎後の腹腔内感染に対する影響についての検討が必要と考えられる。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi