研究課題/領域番号 |
20K09279
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
|
研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
宮口 一 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (10370884)
|
研究分担者 |
渡慶次 学 北海道大学, 工学研究院, 教授 (60311437)
山口 晃巨 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (50822087)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 神経剤 / 流体デバイス / 化学テロ / 神経剤検知デバイス / 化学テロ対策 / 紙デバイス / 現場検知 / 化学剤 / 神経ガス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、化学テロ現場において、早期の避難指示や適切な除染による被害の拡大防止ならびに解毒剤自動注射器の使用を含む治療の判断に役立てるため、警察や消防などのファーストレスポンダーが液状および粉末状の神経剤(コリンエステラーゼ阻害物質)を速やかに検知することができる安価な紙製流体デバイス(紙デバイス)を開発する。
|
研究実績の概要 |
吸水性の高い紙を基材とした紙製流体デバイスは、浸潤により自律的に液体が移動するため、電源やポンプが不要であり、リソースが限られるテロ現場における危険物質の検知に適していると考えられる。また、安価で大量生産が可能であることも、実用化のためには利点となる。 令和3年度は、前年度に設計・最適化した紙製流体デバイスについて、種々の化学剤及び有機リン系農薬に対する応答性能を評価した。その結果、神経剤(サリン、タブン、VX及びRVX)は、有機リン系農薬(ジクロルボス、パラオキソン)より約1000倍高感度であることが明らかとなった。さらに、実際の現場資料において想定される有機溶媒等の妨害物質の影響についても検討した結果、種々の有機溶媒共存下においても正しく検知可能であり、かつ偽陽性を生じないことが明らかとなった。なお、DMSOで偽陽性を生じたものの、水で20倍に希釈した場合は偽陽性を生じなかったことから、測定前の希釈が偽陽性の防止及び有機リン系農薬との識別に有効であることが明らかとなった。 さらに、ドアノブやスイッチからの難揮発性神経剤の検知を想定して、ステンレス板及びプラスチック板上に残ったVXを展開液を浸潤させた綿で拭き取り、その展開液をそのまま紙製検査チップに導入して検査した。その結果、約5 ngのVXが検知可能であった。 以上のことから、検出性能の点においては実用化の域に達したと考え、これまでの成果をまとめて論文公表及び特許出願を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標の成果が得られた上、論文として公表し、さらに特許出願を行うことができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
実用化を見据えた保存期間の延長のため、添加剤、試薬(特に酵素)の実装方法及び包装方法などについて検討する。
|