研究課題/領域番号 |
20K09288
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西原 正章 九州大学, 大学病院, 助教 (70641017)
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研究分担者 |
篠原 啓介 九州大学, 大学病院, 医員 (30784491)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 敗血症 / 慢性腎臓病 / 交感神経活動 / 中枢性交感神経系 / 臓器障害 / ミクログリア / 交感神経系 / β遮断薬 / 腎除神経術 |
研究開始時の研究の概要 |
敗血症は臓器障害を伴う生命を脅かす感染症と定義され、過剰な交感神経活動亢進状態を引き起こす。 慢性腎臓病を合併する敗血症では交感神経活動の亢進がより深く関与し予後不良である。 近年臨床研究により敗血症に対し交感神経抑制薬の有効性が示唆された。一方、腎除神経術(腎神経を血管内より焼灼)が交感神経活動亢進を有する疾患に応用されている。 これらの交感神経系を介した治療法が慢性腎臓病を合併する敗血症に有効である可能性を秘め、今回の研究では臓器障害や予後へ与える影響、および脳における交感神経調節機構へ与える影響を明らかにする。
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研究成果の概要 |
慢性腎臓病(chronic kidney disease; CKD)を併存する敗血症は予後不良であり、その病態に交感神経活性化が関与している可能性がある。今回SDラットのCKD併存敗血症モデルを用いて交感神経活動が臓器障害へ及ぼす影響を検証した。CKD併存敗血症はCKD非併存敗血症と比較し、交感神経活動は亢進し、臓器障害の程度も大きかった。CKD併存敗血症の脳内ミクログリアは活性化しており、その抑制薬ミノサイクリンの脳室内微量投与により交感神経活動と臓器障害は抑制された。以上より、CKD併存敗血症の病態形成に脳内ミクログリアを介した交感神経活動活性化が重要な役割を果たしていることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
慢性腎臓病を併存する敗血症の予後は不良である。近年、敗血症診療における交感神経系抑制薬であるβ遮断薬の有用性が報告されている。敗血症の病態形成における交感神経活動の亢進が報告されているが、それを抑制することによる影響や基礎的な背景など十分に明らかにされていない。今回の研究結果より、慢性腎臓病を併存する敗血症は中枢神経系に由来する交感神経活動の亢進を認め、これを抑制すると臓器障害が軽減されることが示された。これらの成果は、今後も増加の一途をたどることが予想される慢性腎臓病を併存する敗血症患者における過剰な交感神経活動の活性化への治療介入が、新たな治療戦略の基礎的背景になり得る可能性を秘めている。
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