研究課題/領域番号 |
20K09300
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中山 慎 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60596443)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 心肺停止 / 蘇生後脳症 / 脳浮腫 / Rhoキナーゼ阻害薬 / 脳・神経 |
研究開始時の研究の概要 |
蘇生後脳症に有効な治療は確立されていない。先行動物実験ではHMG-CoA還元酵素阻害剤であるスタチンが脳障害を軽減した。その機序の一つにスタチンがコレステロール生合成過程の中間代謝産物であるRhoキナーゼ(ROCK)を抑制したことが考えられた。ROCKは、脳と骨格筋に発現し血管攣縮、細胞増殖、アポトーシス誘導を制御する酵素である。ROCK阻害薬であるファスジルはくも膜下出血後の脳血管攣縮予防薬として承認・販売されている。蘇生後脳症での有効性はまだ調べられていないため本研究ではファスジルの効果を検証し、その保護経路を判別する予定である。
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研究実績の概要 |
マウス心停止モデルを用いて蘇生30分後にRhoキナーゼ阻害薬ファスジル(10mg/kg及び20mg/kg)を静脈投与し、蘇生48時間後の脳浮腫、肺浮腫の程度を調べるために脳水分量、肺水分量をwet to dry法でそれぞれ測定しコントロール群と比較した。 昨年度はファスジル20mg/kg投与で蘇生24時間後の脳浮腫、肺浮腫を減らす結果だったが、長期予後を観察するために24時間以上生存させるとファスジル20mg/kg投与群では48-72時間後にマウスの活気が悪くなり食事が摂取できず死亡する例が散見されたため、観察期間を48時間後と設定した。 蘇生48時間後の生存率はコントロール群90%、ファスジル10mg/kg群90%、ファスジル20mg/kg群70%で有意にファスジル20mg/kg群が低かった。体重減少率はコントロール群-7.3±3.2%、ファスジル10mg/kg群-8.8±3.1%、ファスジル20mg/kg群-9.1±7.0%で有意差はなかった活動量の指標であるマウス前肢の握力測定ではコントロール群195±39g、ファスジル10mg/kg群173±63g、ファスジル20mg/kg群202±26gで有意差はなかった。 脳水分量、肺水分量はコントロール群と比較して、ファスジル10mg/kg投与群、ファスジル20mg/kg投与群ともに減少させることはなかった。コントロール群の蘇生48時間後の大脳水分量 78.4±0.6%、肺水分量 79.4±0.5%、ファスジル10mg/kg: 大脳水分量 79.0±0.3%、肺水分量 80.4±0.9%、ファスジル20mg/kg: 大脳水分量 79.0±0.6%、肺水分量 79.2±0.4%。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ファスジル20mg/kg投与では生存率が低く、生存マウスの中でも蘇生48時間後の検体摘出時に肝臓の色調が悪く薬剤性肝障害を疑われる所見があった。長期予後は悪く、薬剤投与量が多いのかもしれない。投与量を10mg/kgに戻して、脳浮腫、肺浮腫以外の効果を調べることにする。
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今後の研究の推進方策 |
蘇生後のファスジル投与に関して薬剤量の調整が必要であるが、20mg/kgでは副作用が多く蘇生後の脳浮腫や、肺浮腫を軽減する効果は低いと考えられた。 脳の組織障害の程度をファスジル10mg/kgで調べる予定
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