研究課題/領域番号 |
20K09312
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
塩田 勝利 自治医科大学, 医学部, 教授 (40398516)
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研究分担者 |
岡田 剛史 自治医科大学, 医学部, 講師 (20742844)
舩田 正彦 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 薬物依存研究部, 室長 (20299530)
米川 力 自治医科大学, 医学部, 教授 (50468336)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | トラマドール / 急性中毒 / リスペリドン / セロトニン症候群 / 高体温 / ドパミン / セロトニン / Risperidone / オピオイド / DA / 5-HT / 抗精神病薬 |
研究開始時の研究の概要 |
トラマドールはSNRI作用を有するオピオイド系薬剤ありで世界中でその使用は拡大し、重篤な副作用も急激に増加している。しかしその機序は不明で、対症療法が行われるのみである。そのため作用機序の解明と治療法の確立が切望されている。 トラマドール中毒の症状としてはセロトニン症候群が多いことから、その本体は脳内モノアミン濃度上昇によるものと推測し、脳内微小透析法を用いて脳内モノアミン濃度動態を解明する。また各種DA, 5-HT各種受容体拮抗作用を持つリスペリドンが有効であると考え、リスペリドンがトラマドール中毒に有効であることを明らかにし、トラマドール中毒の作用機序の解明と治療法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
トラマドール(TRA)はオピオイド系鎮痛薬として使用されるが、TRAそのものはオピオイド作用がほとんどなくSNRI(serotonin-noradrenaline reuptake-inhibitor)作用を有する(代謝物がオピオイド作用を有していている)。その使用の拡大により高体温を呈するセロトニン症候群様のTRA中毒の症例が増加している。しかしその機序は不明で、治療も補液などの対症療法が行われるのみで、確立された治療法は存在しない。TRAは脳内モノアミン濃度を上昇させることにより、中毒症状を引き起こしていると考えられ、今回我々は各種DA及び5-HT受容体拮抗作用を有するリスペリドン(RIS)がTRAによる高体温を抑制すると考え研究を行った。 実験はWistar系雄性ラットを用い、体内型体温測定装置(nano-tag)を用いて気温28度で体温を測定した。TRA100mg/kgを腹腔内投与したところ体温は、39度以上まで上昇した。RIS(0.5mg/kg,0.25mg/kg)をTRA投与5分前に腹腔内前投与したところ、RIS 0.25mg/kgでTRA投与後60分から180分まで有意に体温上昇を抑制した。しかしRIS 0.5mg/kgでは体温抑制効果を認めなかった。またRISは各種DA及び5-HT受容体拮抗作用を有するため、どの拮抗作用がTRAによる高体温を抑制するのか各種受容体拮抗薬を用いて検討を行ったところ、DA1受容体拮抗薬及び5-HT2A受容体拮抗薬がTRAによる高体温を抑制した。これらの実験からRISのTRAによる高体温の抑制の機序としてはDA1受容体及び5-HT2A受容体拮抗作用によるものと考えられた。 本実験により既に臨床で使用されている抗精神病薬であるRISはTRA中毒の治療薬となる可能性が示唆された。ただしその治療量については今後検討が必要と思われる。
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