研究課題/領域番号 |
20K09340
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 明 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (90867863)
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研究分担者 |
新妻 邦泰 東北大学, 医工学研究科, 教授 (10643330)
遠藤 英徳 東北大学, 医学系研究科, 客員教授 (40723458)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | subarachnoid hemorrhage / S1PR1 / S1P / blood brain barrier / SEW2871 / functional antagonist / sphingossine-1-phosphate / sphingosine-1-phosphate |
研究開始時の研究の概要 |
脳のバリアの破綻はくも膜下出血における神経損傷の悪化に関与する。特殊な脂質であるS1Pは1型S1P受容体を介したS1PR1信号により血管機能の調整を担っている。脳血管でもS1PR1信号が脳のバリアを調整し脳血管の透過性を制御する。1型S1P受容体作動薬であるフィンゴリモド塩酸塩は多発性硬化症の治療薬と認可されており、その作用は免疫を抑制することによる。一方で副作用として血管の透過性を亢進させ黄斑浮腫などが問題とされる。本研究では、S1PR1信号による脳血管での透過性の制御に着目し、くも膜下出血での影響を明らかにし、さらに1型S1P受容体を狙った治療についても検討する。
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研究成果の概要 |
本研究は脳血管内皮細胞でのS1PR1シグナルの拮抗でくも膜下出血の転帰を悪化させることを証明した。この知見からS1PR1刺激薬の投与によりくも膜下出血の転機を改善することが予想された。しかし、仮説と異なりS1PR1 agonistであるSEW2871の投与により転機はむしろ悪化した。これはSEW2871がfunctional antagonistとして作用することによるものであった。この知見は既報とまったく逆のものであり驚くべき結果であった。 適切なS1PR1刺激薬を開発することができればくも膜下出血の新規治療薬となる可能性は証明することができたため、本研究継続の希望となった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
全脳卒中で最も予後不良であるくも膜下出血においては臨床における有効性を示した治療薬は存在せず開発が急務である。本研究では細胞膜上のS1PR1を刺激することによりくも膜下出血の転機を改善することを仮説として動物実験を行った。S1PR1を拮抗することによりくも膜下出血の転機を悪化させることを証明することができた。一方で、適切なS1PR1刺激薬を特定することができなかったことから、その治療効果を証明することができなかった。しかし、S1PR1刺激薬はくも膜下出血の治療薬として有望なものであることは証明することができたことから、今後のS1PR1刺激薬の開発に期待をもたらすことができた。
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