研究課題/領域番号 |
20K09375
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
塩川 芳昭 杏林大学, 医学部, 教授 (20245450)
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研究分担者 |
永根 基雄 杏林大学, 医学部, 教授 (60327468)
市村 幸一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (40231146)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 中枢神経系原発悪性リンパ腫 / 臨床試験 / MGMT / JCOG1114C / 附随研究 / 予後因子 |
研究開始時の研究の概要 |
依然致死的な中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)の病態解明と治療開発のため、分子遺伝学的予後因子の特定が重要である。従来の後方視的PCNSL予後因子研究結果は一定せず、背景因子や治療内容の多様性が原因と考えられる。JCOG1114C第Ⅲ相試験はPCNSLに対して大量methotrexate(MTX)療法+全脳照射にtemozolomide(TMZ)の上乗せ効果を比較検証する試験である。本研究ではこの臨床試験の均一な集団症例から、標的シークエンス、MSP法ならびにNanoString法による遺伝子解析により、PCNSLの予後因子ならびにMTX、TMZ反応性規定因子を検証する事を目標とする。
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研究成果の概要 |
本研究では中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)における予後因子、治療反応性規定因子の検出のため、PCNSLに対して大量メトトレキサート療法(HD-MTX)+全脳照射とHD-MTX+テモゾロミド(TMZ)併用放射線治療+TMZ維持療法との効果を比較したJCOG1114C第Ⅲ相臨床試験に登録された患者集団において、遺伝子解析を行う。特にMGMT遺伝子プロモーターメチル化解析では、MGMT 高メチル群と低メチル群でOSに有意差はなく、MGMT 高メチル群、低メチル群のいずれにおいても、TMZ追加によるOS延長は認められず、MGMTメチル化度はTMZの感受性規定因子とは検証されなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
分子遺伝学的予後因子が依然として十分に明らかになっていない中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)に対し、治療方法や患者背景が均一である第Ⅲ相臨床試験の患者集団で、MGMT遺伝子 プロモーター領域のメチル化が予後因子でなく、またTMZの治療効果予測因子でもなかったことが示された。原発性悪性脳腫瘍の主要な疾患である膠芽腫では、MGMTメチル化状態はTMZの予測因子であることから、PCNSLが同じ悪性脳腫瘍としても膠芽腫とは異なる病態や治療反応性をもつ疾患であることが明らかとなり、またTMZのPCNSLでの有用性を問うJCOG1114C試験の結果の解釈に重要な科学的裏付けを付加することに寄与した。
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