研究課題/領域番号 |
20K09401
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
高橋 雅道 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (10436454)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 髄膜腫 / TERT / エリブリン / RdRP / eribulin / meningioma |
研究開始時の研究の概要 |
髄膜腫は原発性脳腫瘍の中で最も数の多い腫瘍で、その多くが良性腫瘍である一方で約15%は悪性である。繰り返す手術療法と放射線療法が行われるが未だ有効な化学療法・分子標的療法が確立しておらず、この疾患に苦しむ患者さんが多く存在している。近年我々はテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)遺伝子変異が持つRdRPと呼ばれる活性を、強力に阻害するエリブリンという抗がん剤を用いてTERT遺伝子変異を持つ膠芽腫に対する医師主導治験を展開している。悪性髄膜腫ではTERT遺伝子変異が高率に認められるため、本研究では悪性髄膜腫へのエリブリンの治療効果と効果発現機序を解析して臨床応用へ結びつけることを目標とする。
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研究実績の概要 |
髄膜腫は原発性脳腫瘍の中で最も発生数が多く原発性脳腫瘍の約20%を占め、年間発生数は約2000人~2500人程度と推算される。そのほとんどは外科的切除によって治癒するWHO Grade Iの良性腫瘍である一方で、約15%はWHO Grade IIまたはIIIに分類される悪性髄膜腫である。悪性髄膜腫は外科的摘出術のみでの根治はほぼ不可能であり、複数回の手術と放射線治療を組み合わせた複合的治療が必要である一方で、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)を代表として多数の遺伝子変異が報告されているものの未だ悪性髄膜腫に有効な化学療法、分子標的療法が存在しない。有効な化学療法、分子標的療法の開発は急務である。近年我々はTERT遺伝子変異が持つRNA依存型RNAポリメラーゼ活性(RdRP活性)を強力に阻害するエリブリンという抗がん剤を用いて、TERT遺伝子変異を持つ膠芽腫に対する医師主導治験を展開した。悪性髄膜腫ではTERT遺伝子変異が高率に認められるため、本研究では悪性髄膜腫へのエリブリンの治療効果を解析し臨床応用へ結びつけることを目標とした。悪性髄膜種細胞株としてIOMM-Lee、HKBMMの2種類の細胞株を用いて、エリブリンによる殺細胞効果の評価とマウス悪性髄膜種モデルにおける抗腫瘍効果を評価したところ、エリブリンは微小管阻害とは独立した機序で悪性髄膜種の増殖を抑制している可能性が示唆され、in vivo実験においても皮下腫瘍モデル、脳腫瘍モデルの両者においてエリブリンの投与は上記の両者の細胞株において優位に腫瘍抑制効果、もしくは生存期間の延長を示した。以上からエリブリンは悪性髄膜種に対する有望な薬剤であると考えられた。これらの成果は査読付き英文雑誌に発表された(Nakano et al.Cancer Science.2021 DOI:10.1111/cas/15221)。
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