研究課題
基盤研究(C)
背骨が曲がる疾患である側弯症のうち、先天的な脊椎の奇形が原因で起きるものを先天性側弯症(以下、CS)と呼ぶ。CSは低年齢で発症し、重症例では高度な胸郭変形により呼吸機能が著しく低下し生命予後を低下させるため、より早期に診断し、早期に治療が必要な疾患である。近年、CSの発症には遺伝的要素の関与が疑われるようになった。そこで本研究の目的は、CSに対しエクソーム解析という網羅的に遺伝子を解析する手法によって原因遺伝子を同定し、その機能解析研究を行なうことである。これにより、CSの発症メカニズムを解明され、早期診断技術や治療技術の開発につながる可能性がある。
先天性側弯症 (以下CS)と脊椎肋骨異骨症 (以下SCD) の新規原因遺伝子を明らかにするため、CS患者143サンプル、SCD患者18サンプルとなり更に、66家系のトリオ解析を行った。その結果、常染色体優性遺伝モデルから6つ、常染色体劣性遺伝モデルから14つの計20の候補遺伝子が挙がった。その中に繊毛運動に関与しているDNAH3やDNAH12、神経発生に関与しているIRX6、脊椎の形態に関与している可能性があるPLXNA3といった有望な候補遺伝子があった。今後、共同研究グループと協力しオルガノイドを使用した体節形成に関与する遺伝子の評価を行う予定である。
CS、SCDは 低年齢で発症し、重症例は胸郭容量の減少により肺成長が阻害されてQOLや生命予後を低下させる可能性がある疾患である。我々は日本人CSの約10%がTBX6遺伝子の変異によって起こること、さらにCSとSCDは、TBX6遺伝子においては一連の疾患群であり、表現型は変異の重症度に依存していること、TBX6に加えてLFNG 遺伝子が、CSの新規原因遺伝子であることを明らかにした。しかしこれらの変異はCS全体の約10-15%程度であり、未だ病因に関しては不明な点が多い。本病態を明らかにすることは、CSやSCDの生命予後を改善する可能性がある。
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