研究課題
基盤研究(C)
高齢化が進んだ我が国において、ロコモティブシンドロームの原因となる骨粗鬆症とサルコペニアへの対策が急務となっている。骨量と筋量の減少は同時に生じることが多く、骨と筋の相互連関が生理あるいは病態において重要な役割を果たすことが示唆されているが、その分子メカニズムは明らかにされていない。荷重負荷により骨量と筋量を増加させるためには、本課題の遂行が必須であると考えた。① 骨・筋の局所的調節、② 体液性因子による全身的調節、③ ゲノムによる調節、という3つの側面から研究を遂行する。
申請者はマウスやラットを用いて組織形態計測と遺伝子発現から骨と筋の連関について解析した。Wnt10a KOマウスでは、海綿骨量は減少したが、筋重量は維持された。その機序としてGdf8/Myostationの遺伝子発現抑制が考えられた。筋重量が減少するDMDモデルラットの大腿骨骨幹部では、皮質骨に変化はないが、海綿骨量は骨微細構造の劣化を伴って減少した。COPDモデルマウスでは、骨形成低下に伴う海綿骨量の減少ならびにⅠ型からⅡ型筋線維へのタイプ移行、各筋線維の萎縮を認めた。アスタキサンチンやスルフォラファンなどの抗酸化剤投与によりこれらの筋骨格系異常を抑制できることを明らかにした。
骨粗鬆症とサルコペニアのような加齢性疾患は互いに関連しながら進行するにもかかわらず、予防法や治療法の研究開発は未だ発展途上にある。今回、骨と筋を統合的に解析する研究を行った。DMDモデルラットのように遺伝子が大きく疾患を規定する病態では、減少した骨と筋をepigeneticな制御法でレスキューすることは難しいが、COPDモデルマウスのように生活習慣が大きく関与する病態では、減少した骨と筋をアスタキサンチンやスルフォラファンのような抗酸化剤投与により、筋骨格系の異常を抑制できることを明らかにした。今回得られた研究結果は、実効性の高い介入や効果的な治療法の開発に繋がる可能性がある。
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