研究課題
基盤研究(C)
本研究は、公開データベースおよび多施設共同研究の肉腫臨床検体を用い、深層学習を用いたRNA-seq解析によって未分化多形肉腫の病態解明と再分類を行うことを目的としている。なかでも未分化多形肉種は、病理学的に分類不可能なものとして分類されているが、本研究によりこれまで未解明であった未分化多形肉腫の発現パターンを基にした再分類を行い、新規治療法的・バイオマーカーの同定が可能である可能性がある。
多数の亜型がある軟部肉腫において最も頻度が高い組織型である未分化多形肉腫は、『明確な分化方向や特異的融合遺伝子を持つ腫瘍』を除外した結果として診断される腫瘍である。本研究は、未分化多型肉腫のRNA-seq解析を用い、発現パターンを基にした再分類を行うとともに、新規治療標的・バイオマーカー を同定することを目的としている。肉腫は軟部組織に発生する悪性腫瘍であり、その起源細胞は血管、脂肪、骨、神経など多岐にわたる。そこで、まず36種類の 正常組織を用いたRNA-seq解析のデータを入手し、起源細胞を推定する元データとした。この正常組織の解析は全てTCGA projectで用いられたものと同一の試薬 と解析パイプラインを用いて行っており、バイアスを生じることなくTCGAに登録されている33種類、11,315サンプルの悪性腫瘍に由来するRNA-seq解析データと 統合することができるようにした。昨年に引き続き、当院病理科の協力の下で、未分化多型肉腫などの肉腫症例および多種多様ながん種の組織画像とRNA発現データを収集しており、画像と発現データの両方をインプットとした深層学習モデルの開発を行っている。収集した症例のデータを用いて、未分化多型肉腫の再分類に関する深層学習モデルの作成と解析を行っており、起源細胞に基づくシグニチャーと腫瘍特異的なシグニチャーを同定しているところである。
4: 遅れている
深層学習モデルは肉腫のデータだけでなく他の多様ながん種のデータも用いることで種々のバイアスが除外できると考え、精度向上をはかっている。これまでに収集した未分化多型肉腫の検体に加え、当院病理科から提供される種々のがん種の組織像と東大オンコパネルでの発現データを用いた解析を進めている。RNA-seqおよび東大オンコパネルから得られるFASTQファイルを用いた発現量解析は、当研究室が保有している解析サーバーを用いて行っている。最終的に収集したデータを5-fold cross validationの手法で解析し、モデルの予測性能の妥当性検証を行っている。
昨年度に引き続きデータ解析を進め、RNA発現データと対応する病理組織像の画像を使用し、発現データと画像の両方を使用した解析モデルの作成を進め、診断精度の向上を図る。研究成果を学会および論文発表する予定である。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 1件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)
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