研究課題/領域番号 |
20K09456
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山本 憲男 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任教授 (90332668)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | メチオニン分解酵素 / rMETase / マウスモデル / 悪性軟部腫瘍 / 個別化療法 / 動物モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,代表的な軟部肉腫組織型において,それぞれの特徴を再現した患者由来組織同所移植モデルを作成し,発生した局所腫瘍や転移腫瘍に対し,組織型ごとに異常因子の発現や病因メカニズムをタンパクや遺伝子レベルで解析する.その結果から,現在一括りにされている軟部肉腫において,組織型別の治療標的を特定し,新しい治療戦略の開発を行う
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研究実績の概要 |
我々はこれまでの研究で,患者由来組織同所移植マウスモデルが,生体内での腫瘍環境を再現するのにより有用であることを見出し,本手法を用いて未分化多形肉腫患者由来の腫瘍を用いた薬剤耐性軟部肉腫患者の患者由来組織同所移植マウスモデルを作成することに成功した. また一方,癌細胞ではメチオニン代謝が異常に亢進しており,メチオニンを制限すると癌細胞の増殖が抑制される.そこで組み換えメチオニン分解酵素(recombinant methioninase: rMETase)をマウスモデルに経口投与すると,,未分化多形肉腫の患者由来組織同所移植モデルにおいて,ドキソルビシンに耐性を示す腫瘍の増殖を抑制することから,未分化多形肉腫がメチオニン依存性であることを明らかとした. さらに,癌細胞のメチオニン要求性と癌細胞のDNAメチル化異常の関連により,マウスモデルを用いたrMETaseとDNAメチル化阻害薬(デシタビン)の相乗効果の解析では,ドキソルビシン単独では抑制できない腫瘍増殖を,rMETaseとデシタビンの併用療法により抑制できることを明らかとした.そして癌細胞において,メチオニンはs-adenosylmethionine(SAM)への変換を介して,DNAの異常メチル化を生じていること(methionine-methylation axis)から,SAMの阻害剤(シクロロイシン)を rMETaseとデシタビンに併用することで,methionine-methylation axisを完全に阻害し,腫瘍のメチル化を完全に枯渇化する可能性を見出した. そこで,難治性の未分化多形肉腫患者由来のマウス同所移植モデルにおいて,デシタビンおよびシクロロイシンと経口組換えメチオニナーゼを併用したmethionine-methylation axis遮断療法の有効性について検討を行ったところ,腫瘍の広範囲壊死と縮小を認めた. 以上より,デシタビン,シクロロイシン,そして経口組換えメチオニナーゼの併用療法によるmethionine-methylation axis遮断という新しい概念による癌治療の有用性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究を通じて,患者由来組織同所移植マウスモデルが,生体内での腫瘍環境を再現するのにより有用であることを見出し,薬剤耐性の軟部肉腫における移植モデルとを確立した.また,癌のメチオニン要求性に注目し,難治性の未分化多形肉腫モデルにおいて,デシタビンおよびシクロロイシンと経口組換えメチオニナーゼを併用したmethionine-methylation axis遮断という新しい概念の治療法が,有用であることを見出すことができた.
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今後の研究の推進方策 |
これまでコロナ禍のため,海外研究研究施設との人的交流は極めて困難であった.しかしCOVID-19に対する規制も大幅に緩和されるに至り,重要な研究パートナーであるカリフォルニア大学サンディエゴ校のRobrt Hoffman教授の研究室への人的派遣も2023年4月より再開している.今後は他癌腫においても,本治療法の有用性を検討するとともに,また他癌腫における患者由来組織同所移植マウスモデル作成と有効薬剤の評価検討を継続する予定である.
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