研究課題/領域番号 |
20K09472
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
太田 昌博 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (70823334)
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研究分担者 |
高畑 雅彦 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (40374368)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 異所性石灰化 / 慢性炎症 / 石灰化抑制機構 / 炎症アンプ / IL-6 / ピロリン酸代謝 / 靭帯 / 線維芽細胞 / 異栄養性石灰化 / 炎症回路(炎症アンプ) |
研究開始時の研究の概要 |
生体内の様々な臓器にリン酸カルシウム結晶(ハイドロキシアパタイト)が沈着する『異所性石灰化』のメカニズムは未解明であり治療法も確立されていない.本研究では,日常診療においてよく遭遇する腱や靭帯に生じる異栄養性石灰化を研究対象とし,“慢性炎症による軟部組織の石灰化抑制機構の局所的な破綻”という観点からメカニズムの解明を目指す. 異所性石灰化が誘導される動物モデルを用いて,局所で炎症回路(炎症アンプ)が誘導されること,さらにIL-6シグナルの慢性的賦活化により,生体内の石灰化を抑制するピロリン酸(PPi)代謝制御機構が破綻し,異所性石灰化が誘導されることを証明し,治療法開発の研究基盤を確立する.
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研究成果の概要 |
慢性炎症による石灰化抑制機構の局所的な破綻が、腱や靭帯の異所性石灰化に関与するかどうかを検証した。ヒト黄色靱帯由来の線維芽細胞はTNFalpha, IL-6刺激によって、石灰化抑制分子であるピロリン酸濃度を低下させたが、ピロリン酸を制御するENPP1, ANK, TNAPの挙動だけでは説明がつく結果はえられなかった。線維芽細胞を骨誘導培地でTNFalphaまたはIL-6の存在下で培養すると、IL-6添加群では石灰化は亢進したが、TNFalpha刺激をすると石灰化は抑制された。ラットアキレス腱断裂モデルでは、異所性石灰化/骨化が誘導され、炎症を抑制によって骨化は抑制傾向を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生体内の様々な臓器にリン酸カルシウム結晶(ハイドロキシアパタイト)が沈着する『異所性石灰化』は痛みや臓器機能障害を引き起こす。リン酸カルシウム結晶はさらなる炎症を引き起すと考えられており、炎症アンプ(増強)がその障害を慢性化、重症化させる可能性がある。現在、この病態に対する治療薬はなく、unmet medical needsのひとつといえる。本研究ではIL-6刺激がこの異所性石灰化あるいは骨化と、その慢性化に関わる可能性が示されたことから、この経路を遮断するような治療法が症状悪化を防ぐ治療法になりうると考えられた。
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