研究課題/領域番号 |
20K09500
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
長谷川 正裕 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (40308664)
|
研究分担者 |
吉田 恭子 (今中恭子) 三重大学, 医学系研究科, 教授 (00242967)
須藤 啓広 三重大学, 医学系研究科, 教授 (60196904)
吉田 利通 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (80166959)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 関節軟骨 / 変形性関節症 / テネイシンC / シンデカン4 / フィブロネクチン / シンデカン / 軟骨 / 軟骨修復 / 軟骨変性 / シンデカン4 |
研究開始時の研究の概要 |
テネイシンC(TNC)の特定のドメイン(TNIIIA2)は軟骨細胞増殖に関与するβ1インテグリンを活性化し、その活性化はシンデカン4 (SDC4)を介する。このSDC4はフィブロネクチン(Fn)と結合し、TNCもFnと結合し、作用に変化をもたらす。 関節軟骨に対するTNC・SDC4・Fnの相互作用を、TNC単独の効果と比較し、その細胞内情報伝達機構を明らかにする。さらに、TNC・SDC4・Fnを用いた軟骨治療の臨床応用を目指す。
|
研究実績の概要 |
膜貫通型ヘパラン硫酸プロテオグリカンであるシンデカン4は細胞外マトリックスであるテネイシンCやフィブロネクチンと結合することが知られている。関節軟骨において、シンデカン4、テネイシンC、フィブロネクチンがどのような作用があるか単独投与、複数投与による検討を行った。 人工膝関節置換術を受けた患者の組織から軟骨細胞を単離培養し、フィブロネクチンのペプチドであるFNIII14を添加した。なお、FNIII14はテネイシンCのドメインであるTNIIIA2に対して、拮抗作用を示す。FNIII14添加でβ1インテグリン活性が低下し、軟骨細胞増殖が抑制された。TUNEL assayでアポトーシスを示す陽性細胞の割合が上昇した。リアルタイムPCRにおいて、FNIII14添加でCOL2A1、ACAN、SOX9の発現が有意に減少し、TNF-α、IL-1βの発現が有意に上昇した。すなわち、フィブロネクチンのFNIII14単独投与では、軟骨細胞のβ1インテグリンの活性を低下させ、細胞増殖抑制とアポトーシスを誘導することを認めた。 シンデカン4、テネイシンC、フィブロネクチンの相互作用があるかどうかを評価した。シンデカン4とテネイシンCの相互作用は、軟骨変性抑制、修復に対しては良い結果が得られる可能性がある。一方、フィブロネクチンは軟骨のアポトーシスを誘導することより、シンデカン4とフィブロネクチンの両者を用いると、軟骨変性抑制、修復に対しては有用でない可能性が考えられる。人工膝関節置換術を受けた患者の組織から軟骨細胞を単離培養し、テネイシンCのドメインであるTNIIIA2とシンデカン4を同時投与した。軟骨細胞において、TNIIIA2投与によるⅡ型コラーゲンやアグリカンの発現促進効果は、シンデカン4追加による増強効果は認められていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィブロネクチンのペプチドであるFNIII14投与では、軟骨細胞のβ1インテグリンの活性を低下させ、軟骨細胞増殖抑制とアポトーシスを誘導することを認めた。しかし、シンデカン4、テネイシンC、フィブロネクチンの相互作用はまだ明らかでない。
|
今後の研究の推進方策 |
フィブロネクチン、FNIII14を関節内に投与して、軟骨変性が生じるか、in vivo実験を行う。 シンデカン4、テネイシンC、フィブロネクチンの相互作用について研究をすすめる。培養軟骨細胞に同時投与しても、相互作用は認められず、共培養システムを用いて、検討する。 シグナル伝達機構の解明も行う予定である。
|