研究課題/領域番号 |
20K09553
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
沼倉 一幸 秋田大学, 医学部附属病院, 講師 (90566415)
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研究分担者 |
明石 英雄 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (10431785)
小林 瑞貴 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (20838627)
武藤 弓奈 秋田大学, 医学部附属病院, 医員 (60837706)
松峯 元 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (80598144)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 腎細胞癌 / 脂肪由来幹細胞 / βカテニン / PI-3K / 腫瘍微小環境 / drug repositioning |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では新たなアプローチとして腎周囲脂肪に存在する脂肪由来幹細胞(ADSC)に着目した。ADSCは腫瘍の微小環境を構成する間葉細胞を供給し、腫瘍の形成や進展に関わるが、RCCにおける役割はほとんど知られていない。一方、幹細胞に対するいくつかの薬剤は、すでに他疾患で治療薬として使用されており、もし、ADSCが標的となるのであれば、新規薬剤を開発せずに治療が可能になる(drug repositioning)。すなわち、本研究では、RCCにおけるADSCの役割を明らかにし、早期に臨床応用が可能な治療法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
脂肪由来幹細胞(A-MSC)は、脂肪細胞、軟骨芽細胞、骨芽細胞に分化する多能性を有することが確認された。腎細胞癌周囲脂肪由来幹細胞(RCC-MSC)は、ドナー腎周囲脂肪由来幹細胞(Donor-MSC)と比較して、Hes1、Hey1、TwistのmRNAが多く、β-cateninのタンパク質が多く、phospho-Akt (Ser473), phospho-p38 MAPKのタンパク質が少なかった。これらの結果から、RCC-MSCはDonor-MSCと比較して、幹細胞性が低下していることが示唆された。この知見は、アルデヒド脱水素酵素酵素活性(ALDH)アッセイでも、RCC-MSCはDonor-MSCに比べてALDH陽性細胞が少なかったことから確認された。次に、腎細胞癌(RCC)細胞株との共培養により、細胞機能の解析を行った。RCC-MSCを用いた場合、MSCを用いない場合に比べ、移動した腫瘍細胞の数が有意に多かった。RCC細胞株の分子経路のスクリーニングの結果、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)のmRNA発現量は、MSCを使用しない場合よりもRCC-MSCを使用した場合の方が高いことがわかった。RCC手術標本において、腎周囲間質組織のβカテニンのIHC染色では、腫瘍の攻撃性に関連する高い陽性スコアが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定より一年遅れて終了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今回の研究では脂肪由来幹細胞の腎細胞癌に対する影響(浸潤能の亢進)は示すことができたが、両者を結びつける分子の解明には至らなかった。今後は、この道の分子の解明し、新規診断および治療の標的となるかを検討していく予定である。
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