研究課題/領域番号 |
20K09564
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
橋谷 光 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (10315905)
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研究分担者 |
西川 信之 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (30722748)
中森 裕之 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (60824349)
三井 烈 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (90434092)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 過活動膀胱 / 求心性神経 / NO作動性神経 / 微小血管 / 平滑筋 / 粘膜 / 副甲状腺ホルモン関連蛋白 / 膀胱平滑筋 / 尿道細動脈 / 神経性一酸化窒素 / BKチャネル / 自発一過性外向き電流 / 細動脈 / 一酸化窒素 / 膀胱 / 粘膜筋板 / PDGFRα(+)細胞 / 間質細胞 / 蓄尿障害 |
研究開始時の研究の概要 |
膀胱に尿を十分貯めることができず、トイレが近くなったり尿が漏れたりする蓄尿障害は、心理的なストレスが大きく、日常の活動が制約される。急に起こって我慢できない尿意は、膀胱の情報を脳に伝える求心性神経の活動が異常に亢進することにより起こるが、その機序には不明な点が多い。求心性神経は膀胱の粘膜下層に密に分布しており、そこには微小血管網、粘膜筋板、間質細胞が存在する。これらの細胞は、隣接する尿路上皮や排尿筋からの局所液性因子の影響を受け、また全身性の液性因子にも暴露されうる。こうした液性因子による粘膜下層細胞群の機能の変化を理解することにより、蓄尿障害のより良い治療が期待される。
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研究成果の概要 |
膀胱排尿筋の自発収縮は求心性神経を機械的に刺激し、副交感神経由来アセチルコリンはこの経路を増強するが、内在性弛緩物質であるPTHrP(副甲状腺ホルモン関連蛋白)は筋収縮抑制を介して求心性神経活動を減弱させた。下部尿路壁内の微小血管に投射するNO作動性神経は、交感神経からの伝達物質の放出抑制および血管平滑筋への直接的な弛緩作用により、交感神経性血管収縮に拮抗する機能を有することが示された。PTHrPおよびNO作動性神経は、求心性神経活動の抑制と血管拡張による血流増加を介して正常な下部尿路機能の維持に寄与していると考えられ、これらの経路の促進は下部尿路症状の治療戦略となることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
下部尿路症状は、加齢やメタボリック症候群などに併発することから、下部尿路内の環境のみならず、交感神経過活動など全身性の病態を反映している。尿意切迫感は膀胱由来の求心性神経の過活動により生じるが、内在性物質であるPTHrPは、副交感神経の影響下においても排尿筋の自発収縮抑制を介して求心性神経活動を制御する。また下部尿路壁内に広く分布するNO作動性神経は、微小血管の収縮性調節においては交感神経と拮抗する機能を有し血流維持に寄与する。PTHrPの活性化、NO作動性神経およびそのセカンドメッセンジャーであるcGMPの作用増強は、下部尿路症状の治療戦略となると考えられた。
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