研究課題
基盤研究(C)
ABO血液型不適合腎移植ではドナー血液型抗原に対する抗体産生が特意的に抑制される「免疫学的順応」が起こる。今回の研究はその機序に共刺激分子と制御性T/B細胞がどのように関与しているかを解析する。①組織学的検討:腎生検標本を用いて移植腎浸潤細胞における共刺激分子・制御性T/Bの発現・局在を検討する。②既にわれわれが確立した移植後安定生着状態の患者PBMC培養・抗体産生測定系を用い、(1)In vitroにおける抗血液型抗体産生定量モデルにおけるリンパ球サブセットを詳細に解析する。(2)特異的抗体産生抑制に関与する可能性がある細胞集団を同定し機能を解析する。
ABO血液型不適合腎移植における免疫学的順応にたいする共刺激分子の関与について解析する目的で、まずはじめに健常者の末梢全血を用い、T cell/B cell上のPD-1、PD-L1、PD-L2をWhole Blood FACSで解析した。PD-1はCD3(+)T cellの5.89%に、CD19(+)B cellの2.82%に陽性、PD-L1、PD-L2はどちらの細胞でもほぼ陰性だった。このため末梢血リンパ球定常状態での検体は研究に不向きと判断、採取リンパ球をIn VitroでT cellはConA/LPS、B cellはCpG培地で3日間刺激培養し、解析する方針に変更した。健常者CD3(+)T cellPD-1は刺激により57.27%、PD-L1も39.31%と増加したが、PD-L2は0.68%と増加がなかった。CD19(+)B cell上のPD-1は刺激により10.60%、PD-L1は68.01%、PD-L2は7.9%と増加した。拒絶反応患者のリンパ球ではCD3(+)T cellPD-1は刺激後47.27%、PD-L1も68.81%、PD-L2も53.22%と増加、CD19(+)B cell上のPD-1は刺激後20.20%、PD-L1は48.64%、PD-L2は15.9%と増加した。この成果を受けて健常対照者・移植患者とも検体数を増やし、健常者と移植患者の比較検討を試みたが、研究期間中頻回にフローサイトメーターが故障、修繕を繰り返した。相当な時間と費用(高額のため本研究費以外の支出で補填)をかけて修繕したが最終的に修繕不能と判断され、本研究費の残額は残したまま研究は終了とせざるを得ない状況となった。
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