研究課題/領域番号 |
20K09595
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
西島 浩二 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (80334837)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 肺サーファクタント / 胎脂 / ミセル / 早産児 / 壊死性腸炎 / 多光子イオン化飛行時間型質量分析法 / 早産 / リポソーム |
研究開始時の研究の概要 |
妊娠後期には、羊水に急激に濁りが生じる(Hook GE et al.1978)。申請者は、この羊水の濁りは、肺サーファクタントが胎脂を取り囲んで“分子集合体ミセル”を形成し、羊水中に分散するための現象である事を明らかにした。一方、乳汁中の主要なエネルギー源である長鎖脂肪酸は、腸管内で胆汁酸と反応し、“ミセル構造”をとることで消化管から吸収される。本研究は、胎児が嚥下する羊水と新生児が摂取する母乳の両者に、分子集合体ミセルが存在するという共通点に着目し、早産児の初期管理に有用な経腸栄養剤の開発を目的とする。
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研究成果の概要 |
肺サーファクタント製剤が形成するミセルとウサギ羊水内に存在するミセル分子の超微細構造解析を行った。クライオ透過型電子顕微鏡により、親水基を外側に、親油基を内側に向けた肺サーファクタントミセルの分子構造を描出することが出来た。次いで、妊娠16週から40週のヒト羊水55検体中のミセル分子の有無を、ネガティブ染色法を用いて検討した。妊娠週数が進むほどミセルの検出率が高くなったことより、ヒト羊水中のミセル分子は胎児の肺成熟度の指標になり得ると思われた。本研究を進めることで、ヒト発生段階における肺-皮膚-消化器間の相互作用を解明し、新たな視点に立った初期経腸栄養剤の開発を目指している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
妊娠後期の羊水構成成分の変化と消化管成熟との関連に着目した研究は、国内外を通じて存在しない。報告者の作成したサーファクテンミセル溶液(特許第4378531号)は、ウサギ胎仔小腸の成長と保護に関与し、ラット新生仔の壊死性腸炎発症を抑制した。今日の未熟児医療における問題点の一つは消化管の未熟性に起因する壊死性腸炎の発症であり、少子高齢化社会においては、早産児を“後遺症なく生存”させることの意義はきわめて大きい。本研究を進める事で、新たな視点に立った早産児用初期経腸栄養剤の開発が期待される。
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