研究課題/領域番号 |
20K09621
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
田代 浩徳 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (70304996)
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研究分担者 |
片渕 秀隆 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 名誉教授 (90224451)
齋藤 文誉 熊本大学, 病院, 助教 (20555742)
山口 宗影 熊本大学, 病院, 講師 (20626535)
本原 剛志 熊本大学, 病院, 講師 (10457591)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 子宮頸癌前癌状態 / 高度扁平上皮内病変(HSIL) / ヒトパピローマウイルス(HPV) / 内分泌環境 / HIPPO経路 / YAP1 / 高度扁平上皮内病変(HSIL) / ヒトパピローマウイルス(HPV / 高度扁平上皮内病変 / HSIL / ヒトパピローマウイルス(HPV) / 高度扁平上皮内病変 HSIL / 子宮頸癌 / YAP / Hippo経路 / HPV |
研究開始時の研究の概要 |
子宮頸癌前癌病変(CIN)は、ヒトパピローマウイルスの影響により、Hippo経路標的分子であるYAP1活性が変化し、扁平上皮の分化異常が生じると考えられている。CIN病変は、可逆的変化を受けることは知られているが、その原因は明らかではない。YAP1は内分泌学的因子により活性が変化することが知られている。本研究では、CIN病変が内分泌学的影響を受け、YAP1活性に変化を生じることで、可逆的に変化するのかを検証する。
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研究実績の概要 |
子宮頸癌(頸癌)の前癌病変から浸潤癌への移行は1~3割程度とされるものの、若年女性を中心に外科的治療である子宮頸部円錐切除術(円切)が施行されている。円切は月経障害の他、流産や早産による周産期死亡に関連し、問題となっている。頸癌前癌病変の退縮、消失する要因が免疫もしくは内分泌環境の変化によるものか、未だ議論が多く詳細な機序は不明である。近年、頸癌とHippo経路下流にあるYAP1の活性化との関連が注目されている。われわれは、神戸大学との共同研究により、マウス子宮のHippo経路に あるMOB1a/bをノックアウトし、YAP1を活性化することで、極めて早期に、子宮頸癌前癌病変である高度扁平上皮内病変 HSILをきたすことを見出した。また、 cell lineを用いた研究により、ヒトパピローマウイルスHPV E6/E7 はYAP1を活性化するが、このE6/E7以外にもエストロゲンによってもYAP1を活性化することを明らかにした。ヒトの子宮頸部前癌病変(軽度・高度扁平上皮内病変)において、YAP1の活性化が高まることを示した。これらの成果は、cancer science ならびに 日本臨床分子形態学会(シンポジウム)に発表した。臨床検体を用い、前癌病変CIN1からCIN3ならびに初期癌病変の各段階におけるYAP1活性化と内分泌環境による影響を受けるかどうかを評価に関して、研究が遅延している。閉経前症例の生検、円切標本ならびに子宮摘出標本を用いて、前癌病変とYAP1発現の関連、月経周期による病変の変化を調べ、前癌病変を有する妊娠合併症例においては、妊娠中と分娩後の病変の変化を同様にして解析を行い、内分泌学的変化とYAP1を介した前癌病変の消退、持続、進展との関連性を明らかにしていくところであるものの、検体の蓄積において、遅延が生じてきた。検体提供の施設を追加して、解析を終了させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
神戸大学との共同研究により、子宮を標的としたHippo経路にあるMOB1a/bをノックアウトしYAP1を活性化することで極めて早期よりHSILをきたすモデルマウスを 作製し、in vivoの解析を行った。Cell lineを用いて、エストロゲンの添加によりYAP1が活性化することを明らかにした。新型コロナ感染の影響で症例数の蓄積が遅れており、また、組織診断を目的にした生検組織(パンチバイオプシーによって得られる組織)の残余検体を用いて行う。臨床診断確定して残ったパラフィンブロックより薄切切片を作成し、免疫組織科学的染色を行って解析を行うが、解析できる生検材料の検体数が不足している。特に、内分泌学的変化をより明らかにできる妊娠・分娩後変化を追える妊娠症例の生検検体が十分に確保できていない状況にある(問題点:妊娠時の生検は、多量の出血をきたすことが多く、生検部位が最小限として、採取料も少ない)。
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今後の研究の推進方策 |
症例の集積を進めており、臨床検体の前癌病変CIN1からCIN3ならびに初期癌病変の各段階におけるYAP1活性化と内分泌環境による影響を受けるかどうかを評価する。閉経前症例の生検、円切標本ならびに子宮摘出標本を用いて、前癌病変とYAP1発現の関連、月経周期による病変の変化を調べ、前癌病変を有する妊娠合併症例においては、妊娠中と分娩後の病変の変化を同様にして解析を行う。これらにより、内分泌学的変化とYAP1を介した前癌病変の消退、持続、進展との関連性を明らかにすることを進めている。臨床における生検材料がメインとなるものの、組織診断後の残余検体の薄切切片を用いるために、検体量不足の頻度が多く、特に、妊娠症例の検体が不足している。関連病院の協力を依頼、該当症例数の蓄積を行っているが、産科施設を含めた提供施設を広げ、過去の検体も用いることができるように、倫理審査委員会承認のもとに、診断が確定したパラフィンブロックを用いたYAP1 等の免疫組織学的解析を遂行し、本研究を完了させる。
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