研究課題/領域番号 |
20K09702
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
関 優太 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 研究員 (10615636)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 難聴 / モデルマウス / ミオシン6 / 遺伝子治療 / ゲノム編集 / ミオシンVI |
研究開始時の研究の概要 |
難聴発症原因遺伝子の1つであるミオシン6のモデルマウスシリーズの解析により、ヘテロ接合体が生じる進行性難聴の症状は変異アレル間で異なり、特に、ミスセンス変異型は早期の聴力低下を生じることが明らかとなった。この原因は、変異型ミオシン6が内耳有毛細胞で発現および機能することであり、アデノ随伴ウイルスベクターを介した遺伝子治療を実施すれば難聴発症の遅延および重篤化を食い止めることが可能になると示唆された。そこで本研究は、ミオシン6のミスセンス変異が原因で生じる早発の進行性難聴の遺伝子治療および治療効果の検証を目的に、ミオシン6変異アレルを標的としたゲノム編集を個体レベルで実施する。
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研究実績の概要 |
難聴発症原因遺伝子の1つであるミオシン6は、変異アレルホモで先天性難聴および変異アレルヘテロで進行性難聴を発症する。我々はミオシン6に突然変異を持つモデルマウスのヘテロ接合体が患者同様に進行性難聴を生じ、変異アレル間で発症時期が異なることを見出し、ミスセンス変異ヘテロ個体が早発の進行性難聴を引き起こすことも明らかとした。本年度は、アデノ随伴ウイルスベクターを介した遺伝子治療のための基礎データを蓄積するため、以下の項目を実施した。 ・モデルマウスの表現型解析 対象としたモデルマウスの1つであるミオシン6ミスセンス変異マウスは、難聴発症に加え、行動パターンが野生型と異なることが報告されている。さらに、生後初期のヘテロ個体の遺伝子治療により、難聴発症が遅延することも報告された。しかしながら、行動パターンに関する詳細な情報は乏しい状態にある。加えて遺伝子治療によって行動パターンを野生型化できる可能性が推察されたため、オープンフィールドテストを実施した。その結果、ミオシン6ミスセンス変異マウスは欠失変異マウスで認められる旋回行動は認められないものの、行動量増加の可能性を示唆するデータが得られ、現在はヘテロ個体も含めたデータを蓄積している。 ・アデノ随伴ウイルスベクター構築および導入時期の検討 アデノ随伴ウイルスベクター導入により変異アレルの破壊が可能であることが報告され、本研究で有用と考えられるいくつかのアデノ随伴ウイルスベクターを選出している。また、モデルマウスの聴力レベルの低下時期および有毛細胞の不動毛形態異常の出現時期から、その治療時期を検討した。これら知見に行動解析データを加え、蝸牛および前庭の有毛細胞を標的としたミオシン6変異アレル破壊および遺伝子発現の補完を目指したアデノ随伴ウイルスベクター構築の準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症を考慮した研究活動、および他業務の遂行のため、アデノ随伴ウイルスベクターの構築には至らなかった。また、行動解析データを追加したため遅延が生じた。これらの理由から本研究は1年間研究期間を延長することとしたため、遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
モデルマウスの聴力表現型データは蓄積できている。次年度は、行動解析データを精査し、詳細な蝸牛および前庭有毛細胞の表現型を調査する。また変異アレル破壊および発現量補完を目標としたアデノ随伴ウイルスベクターを構築し、評価する。
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