研究課題/領域番号 |
20K09705
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菊田 周 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00555865)
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研究分担者 |
近藤 健二 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40334370)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 嗅覚障害 / 嗅上皮 / インスリン点鼻 / 糖尿病 / インスリン / 嗅覚 |
研究開始時の研究の概要 |
嗅細胞が密集する嗅上皮は、感染や有害物質によって容易に障害を受ける。嗅上皮では新しい嗅細胞が絶えず生まれるため、嗅覚はいずれ元に戻ることが期待される。しかし、嗅上皮が持続的に強い障害を受けると、嗅覚の改善が不十分あるいは改善しない症例が多数存在する。 インスリンは脳内では生存シグナルとして細胞死を抑制する効果を有しているが、インスリンが嗅細胞に対してどのような生理作用を有するのかについては不明である。インスリンが嗅上皮障害に対して防護的に働くことを証明することで、嗅上皮の恒常性維持における鼻汁中インスリンの役割を明らかにする。
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研究成果の概要 |
1.鼻汁中インスリンは嗅細胞でのアポトーシス誘導を抑制する。鼻汁中へのインスリン投与によって嗅細胞でのアポトーシス誘導が抑制されることを組織学的に証明した。2.組織学的な被障害性の程度は鼻汁中のインスリン濃度と相関する。組織学的な被障害性の程度は、鼻汁中のインスリン濃度と相関することを証明した。3.好酸球からの好酸球性カチオン性蛋白による嗅上皮障害はアポトーシスを介して起こり、インスリン点鼻によって障害が抑制される。好酸球性カチオン性蛋白(ECP)を投与すると嗅上皮が傷害されるが、インスリン点鼻投与を先行させると嗅上皮は障害を受けなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病を始めとする老化関連神経変性疾患に対してインスリン点鼻投与を行うと、インスリンが嗅神経を介して脳内へ移行し、病気の進行を遅らせるとの報告もあり、インスリンと老化関連神経変性疾患との関連性が注目されている。しかし、嗅神経の障害予防を意図して、インスリン点鼻投与を行う研究はこれまで行われていない。経鼻投与は、鼻汁を介して直接嗅神経に作用できる利点を有する。インスリン点鼻投与による嗅上皮障害抑制効果を詳細に検討することで、嗅上皮の恒常性維持に関わる神経機構の解明が期待され、本研究は将来的に、嗅覚障害に対する新規治療薬開発へとつながる基盤研究となる
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