研究課題/領域番号 |
20K09728
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
伊藤 卓 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (40401400)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | SLC26A4 / 前庭水管拡大 / ペンドレッド / メラニン / マクロファージ / Mondini / IP-II / マイクロCT |
研究開始時の研究の概要 |
SLC26A4変異では先天性高度難聴を呈することが多いが、非先天性で軽度~中等度で発症し進行性を示すこともある。このように多彩な表現型がどのような要因によるのかは不明である。申請者はモデルマウスにおいて内耳血管条の過剰色素沈着が組織マクロファージの増殖・活性化を誘導して聴覚障害を重症化させていることを報告した。本研究ではこれまで注目されてこなかった血管条内色素沈着に着目した病状進行の予防法確立を目的とする。そのためにメラニン色素を欠損したマウスを用いて、聴性脳幹反射、内リンパ電位の測定、血管条内マクロファージの形態観察、および血管条内のRNA発現の解析を行い難聴レベルに関与する要因を特定する。
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研究成果の概要 |
SLC26A4遺伝子変異によるモンディーニ奇形や内リンパ水腫の発症メカニズムを解明するため、ノックアウトマウスを用いた研究を行った。聴力検査、形態学的解析、遺伝子発現解析により、SLC26A4欠損がマクロファージの活性化や極性形成に影響を及ぼし、ラセン靭帯や血管条の変性を引き起こすことが明らかになった。さらに、m-TOR阻害剤シロリムスの投与実験を計画したが、動物実験施設の規制改変により中断を余儀なくされた。本研究により、SLC26A4遺伝子変異の表現型多様性の一因が明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、SLC26A4遺伝子変異による難聴・平衡障害の発症メカニズムの一端を明らかにした点で学術的に意義がある。SLC26A4欠損がマクロファージの機能異常を引き起こし、内耳の変性に関与することを示した。この知見は内リンパ水腫などの内耳奇形の分子病態解明に貢献する。 一方、社会的には難聴患者の病因解明と新規治療法開発への手がかりを与えた。SLC26A4遺伝子変異は先天性難聴の主要な原因であり、マクロファージ制御を標的とした新しいアプローチが有望視される。さらに、m-TOR阻害剤によるマクロファージ活性調節が内耳変性抑制に有効かを検証する重要性が示された。
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