研究課題/領域番号 |
20K09729
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
中西 啓 浜松医科大学, 医学部, 助教 (20444359)
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研究分担者 |
細川 誠二 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (50377743)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 免疫応答 / 蝸牛 / 前庭 / 難聴 / 自己免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は遺伝性難聴家系の連鎖解析を行い、難聴がNLRP3遺伝子変異により生じていることを明らかにした。この家系における難聴の病態として、NLRP3の機能獲得型変異により、蝸牛内に存在する組織マクロファージからIL-1βが分泌されたために、蝸牛内炎症が惹起され難聴が生じたという仮説を立てた。本研究では、モデルマウスを用いてこの仮説を証明することが目的である。
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研究実績の概要 |
我々は非症候群性遺伝性難聴家系(DFNA34)の連鎖解析を行い、本家系の難聴がNLRP3遺伝子バリアントにより生じていることを明らかにした。現在までに、NLRP3は全身性自己炎症性疾患であるクリオピリン関連周期熱症候群(cryopyrin associated periodic syndrome: CAPS)の原因遺伝子であることが知られている。CAPS患者では、NLRP3の機能獲得型バリアントにより自然免疫担当細胞から恒常的にInterleukin-1β(IL-1β)が分泌されるために全身性炎症が生じると考えられている。DFNA34患者では難聴以外に臨床症状が認められないため、機能獲得型バリアントにより全身性炎症が生じ、その一部症状として蝸牛内炎症が生じたとは考えにくい。そこで我々は、蝸牛内に組織マクロファージが存在し、その細胞からIL-1βが分泌されたために蝸牛内炎症が惹起され非症候群性難聴が生じたという仮説を立てた。本研究では、この仮説を、マウスを用いて証明するとともに、蝸牛内炎症がヒトの難聴疾患と関連しているかについて検討することが目的である。令和3年度までに、野生型マウスを用いて、マウス蝸牛においてNLRP3インフラマソームが活性化されること、NLRP3インフラマソームが活性化される細胞は組織マクロファージであることを明らかにした。また、前庭において組織マクロファージは存在するものの、NLRP3インフラマソームは活性化されないことを明らかにした。一方、内リンパ嚢においてNLRP3インフラマソームが活性化されるかについては検討されていなかったため、令和4年度は内リンパ嚢を用いてこれらの検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度までに、野生型マウスを用いて、マウス蝸牛においてNLRP3インフラマソームが活性化されること、NLRP3インフラマソームが活性化される細胞は組織マクロファージであることを明らかにした。また、前庭において組織マクロファージは存在するものの、NLRP3インフラマソームは活性化されないことを明らかにした。一方、内リンパ嚢においてNLRP3インフラマソームが活性化されるかについては検討されていなかったため、令和4年度は内リンパ嚢を用いてこれらの検討を行った。 野生型マウス内リンパ嚢ではNLRP3インフラマソームは活性化されない可能性がある:NLRP3 インフラマソームは、活性化されるとIL-1βの分泌を惹起することにより炎症反応を引き起こす。活性化するためには2段階のステップを誘導することが必要である。2段階のプテップを経てIL-1βが分泌される現象は、NLRP3インフラマソームに特異的であるため目的とする細胞内でNLRP3インフラマソームが活性化されるか評価するために応用されている。本研究では、野生型マウスより内リンパ嚢組織を分離・培養し、最初のステップを誘導するためにリポ多糖(LPS)を加えて培養し、さらに次のステップを誘導するためにATPを加えて培養して、培養液中のIL-1βの濃度を測定した(LPS+ATP)。その結果、LPS+ATPを加えた群でも、IL-1βはほとんど検出されず、何も加えなかった群やLPSのみ加えた群と有意差はなかった。
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今後の研究の推進方策 |
蝸牛内炎症により難聴が生じるか、そして前庭においてNLRP3インフラマソームにより炎症が生じるか評価するため、DFNA34家系で同定された変異を用いて新たにNLRP3モデルマウスを作製する。ノックインマウスの作成は、CRISPR/Cas9法によるゲノム編集技術を用いて行う。オフターゲット作用により本来期待していない部位に変異が生じる可能性があるので、野生型マウスと数世代交配してオフターゲット変異を持たないマウスを選別する。作製したNLRP3ノックインマウスにおいて、体重、皮疹、生存期間を観察するとともに、全血球計算や血液中のサイトカイン濃度を測定する。また、聴覚機能についても評価する。 また、NLRP3遺伝子バリアントによって生じる難聴の原因を明らかにするため、NLRP3遺伝子バリアントによって発症した成人難聴患者においてその聴覚特性を明らかにする。聴覚特性を明らかにするため、純音聴力検査、語音聴力検査、聴性定常反応検査、耳音響放射検査、方向感検査、雑音下語音検査などを行い、正常聴力成人、他の遺伝子バリアントによって発症しほぼ同程度の聴力閾値である成人難聴患者と比較検討する。
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