研究課題/領域番号 |
20K09739
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
松崎 洋海 日本大学, 医学部, 准教授 (00451328)
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研究分担者 |
浅居 僚平 日本大学, 医学部, 助教 (60851095)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | papilloma / human paillomavirus / recurrence / Human papillomavirus / 再発性気道乳頭腫 / 臨床経過 / HPV-DNA / HPV / 予後予測因子 |
研究開始時の研究の概要 |
気道乳頭腫の患者に、治療後の 再発と気道乳頭腫の重症度について数ヶ月おきに追跡調査する。また、治療前と治療後の 1 年後、2 年後、3 年後、4 年後、5 年後に上気道における HPV-DNA 検査を行う。HPV- DNA の陰性症例と治療前陽性例でも陰性化が起こるのか、起こるのであれば長期間持続 するのかについても検討する。 さらに、治療前 HPV-DNA 陰性例および治療後に HPV-DNA 陰性化した群と HPV-DNA 陽性持続した群とのあいだで、再発率や重症度に差があるのかどうかを検討する。
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研究実績の概要 |
引き続き、咽頭・喉頭・気管といった気道に発生した乳頭腫の臨床データを集積している。呼吸器の新生物である気道頭腫症の診療の効率化が、本研究の最大の目的である。中でも再発性気道乳頭種においては、主に喉頭に病変が集中して発生するが、喉頭外への病変の播種が起こることが知られている。しかし、実際のところ再発性気道乳頭腫症における喉頭以外の好発部位などに関するデータはこれまで乏しかった。そこで、本研究で得られたデータと過去に当施設で得られていたデータとを照合して、再発性気道乳頭腫症の喉頭外病変の好発部位を明らかにし、国際雑誌に投稿し掲載された。内容は以下のように述べた。当科で診療を行った127名の気道乳頭腫患者(そのうち、41名が再発性気道乳頭腫、86名が非再発性咽頭乳頭腫)から得られた内視鏡画像データと手術記録データを用いて、病変の発症部位をICD-O分類を用いて詳細に抽出した。そして、再発性気道乳頭腫症患者群と非再発性乳頭腫症患者群とを統計学的に比較した。結果としては、41名の再発性気道乳頭腫症患者において、10名に喉頭以外にも病変を認めた。その10名のうち8名(再発性気道乳頭腫全体の19.5%)において上咽頭下壁に病変を最も多く認められた。一方、非再発性乳頭腫患者群においては、上咽頭下壁に発症した患者は1名のみ(非再発性乳頭腫群の1.1%)であった。これら両群を比較し、統計学的に有意に再発性気道乳頭腫において上咽頭下壁に病変が多く発生することが明らかになった。このことから、再発性気道乳頭腫患者を診療する際には、上咽頭下壁に特段の注意を払って診療することが求められることがわかった。今後の診療効率化に一定の貢献できる知見を得ることができた。今後もさらに、気道に発生した乳頭腫症例のデータを蓄積し、治療経過の予後を予測する因子を見出し、診療の効率化を目指して行きたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で得られたデータを用いて、気道乳頭腫の中で再発性の場合における喉頭以外の病変の好発部位を明らかにした。また、上咽頭下壁や軟口蓋は以前から乳頭腫の好発部位とされてきたが、非再発性の咽頭乳頭腫群と比較し、非再発性ではまれにしか発生しないことが本研究により明らかになった。このことは当初の目的である気道乳頭腫症の診療効率化に向けて、限られた時間や医療資源を有効に活用する上で重要な知見を得られたと考えられる。なお本研究結果は、European Archives of Oto-Rhino-Laryngology誌に掲載された。このことから、研究は概ね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も研究データの取得を活動の中心とする。対象とする気道乳頭腫の患者の基本的データとHPV感染状態の変化、術間間隔、および疾患重症度スコア(Derkayの部位スコア)を定期的に蓄積してきている。定期的な観察の中で、蓄積された各種パラメーターと、臨床経過との関連性について検討する。その中で予後予測因子がもしも同定できれば、予後良好と判断される患者さんへ の、過剰な検査を減らすことも可能になると推測する。そうした観点で、診療の効率化を目指して行きたい。
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