研究課題/領域番号 |
20K09744
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
森田 真也 北海道大学, 大学病院, 助教 (80443951)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 耳鼻咽喉科学 / 耳科学 / 好中球細胞外トラップ / 中耳炎 / 血管炎 / ANCA関連血管炎性中耳炎 / NETs / MPO-DNA |
研究開始時の研究の概要 |
抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎性中耳炎(OMAAV)は、通常の中耳炎との鑑別が困難である。この要因として、血液学的検査でANCA陰性を示す例や病理組織学的検査で特徴的な血管炎像を認めない例が比較的多いということが挙げられる。近年では、好中球細胞外トラップ(NETs)が、ANCA産生や血管炎の発症・活動性に重要な役割を果たすと報告されている。しかし、中耳腔においてはその存在を未だに確認できていない。OMAAV症例の血液および中耳貯留液を用いてNETsの存在を確認し、ラットを用いてNETs導入によるOMAAVの発症を確認することで、その発症機序を解明する。
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研究実績の概要 |
昨年度までの研究では、被験者から採取した中耳貯留液を用いて、NETosisの際に放出されるMPO-DNA複合体、cell-free DNA、シトルリン化ヒストン-DNA複合体を好中球細胞外トラップ(NETs)と定義してELISA法で測定を行った。ANCA関連血管炎性中耳炎から採取された中耳貯留液では、これらのNETosis代謝産物の発現レベル値が高値を示した。また、蛍光顕微鏡を用いた画像解析で中耳貯留液においてNETosisが発生しているか評価したところ、ANCA関連血管炎性中耳炎から採取された中耳貯留液では、蛍光顕微鏡を用いた画像解析でNETosisの発生が確認できた。ANCA関連血管炎性中耳炎の病態にNETosisおよびNETosis代謝産物が重要な役割を果たすことが示唆されたため、今年度の研究は、NETosisおよびNETosis代謝産物と疾患の重症度・活動性・治療効果などの臨床像との相関関係を解析した。NETosis代謝産物の発現レベル値とANCA関連血管炎性中耳炎の聴力閾値は、正の相関関係を示すという結果であった。また、活動期のANCA関連血管炎性中耳炎から採取した中耳洗浄液のNETosis代謝産物の発現レベル値を測定したところ、寛解期のANCA関連血管炎性中耳炎のものと比較して有意に高値を示した。昨年度と今年度の研究結果から、NETsの適切な評価がANCA関連血管炎性中耳炎の診断や疾患活動性を評価するバイオマーカーとなりうることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
サンプルの集積も順調であり、用いる試薬も物流状況の悪化の影響を受けなかったため、基礎研究に関しては進捗状況は順調であった。ただコロナウイルス流行によって臨床試験の計画にはやや遅れが生じたため、次年度に延長となった。
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今後の研究の推進方策 |
各種のNETosis評価方法を用いて、ANCA関連血管炎性中耳炎の病態にNETosisおよびNETosis代謝産物が関与することが示唆された。また、NETosis代謝産物の発現レベル値とANCA関連血管炎性中耳炎の聴力閾値は、正の相関関係を示すという結果であった。そのため、NETosisの適切な評価がANCA関連血管炎性中耳炎の診断や疾患活動性を評価するバイオマーカーになりうると思われた。今後は、NETosisおよびNETosis代謝産物の発現量と臨床的側面との関連性をさらに明らかにするため、前方視的な臨床試験を計画し、血液および中耳貯留液におけるNETosis代謝産物の測定が、新しい診断法・疾患活動性の評価法・治療効果判定法として有用であるかを検証する。
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