研究課題/領域番号 |
20K09761
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
田中 康広 獨協医科大学, 医学部, 教授 (40266648)
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研究分担者 |
穐吉 亮平 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (80572859)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 大脳皮質味覚野 / 味覚障害 / 味覚情報処理 / 神経回路 / 2光子顕微鏡 / 味覚刺激 / バンドルファイバ / 後内側腹側核 / 味覚障害モデル / 末梢性味覚障害 / 自律神経 / 光ファイバー / 味覚中枢 |
研究開始時の研究の概要 |
味覚は、味蕾・味覚神経を介して中枢に伝えられ、大脳皮質味覚野において受容・認知される。大脳皮質味覚野においては、様々な連絡線維により情動や記憶、他の感覚情報と統合され、脳に蓄積された味覚情報の想起に関与していることが知られている。しかし、恒常性維持に働く味覚情報処理の神経回路や、その破綻による味覚障害についてはいまだ十分に知られておらず、「大脳皮質味覚野における空間的な恒常性維持機構の探求と味覚障害の病態解明」を推進する。新規イメージング技術(2光子顕微鏡)を用いて、味覚野における情報処理機構のメカニズムを明らかにすることで、味覚障害に対する新しいトランスレーショナル研究が期待される。
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研究成果の概要 |
実地臨床において最も一般的な味覚障害は亜鉛低下によるものであるが、今回マウスにD-ペニシラミンを投与することで亜鉛欠乏性の味覚障害モデルを作製することに成功した。また、大脳皮質味覚野における情報処理機構を解明するために、味覚刺激に暴露した際の大脳の誘発反応をアデノ随伴ウイルスによる遺伝子導入を用いカルシウムイメージングによりリアルタイムかつ繰り返し観察できる実験系を構築した。さらに、舌表面を生きたまま高分解能で形態観察できる実験系を構築できた。同実験系を用いて、亜鉛欠乏性味覚障害モデルマウス、老化や全身性疾患モデルマウスによる大脳皮質味覚野の神経動態を観察することが可能になった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
味覚障害を呈する患者数は年々増え続けているものの、実地臨床では原因がわからないことも多い。その理由は大脳を含めた味覚の情報処理のメカニズムが未解明であることが挙げられる。今回の成果により、生体マウスにおいて味覚刺激による大脳の反応が単一細胞レベルで観察できるようになり、味覚情報処理のメカニズムの一端を解明することができた。今後、様々な病態モデルマウスを用いて味覚情報処理の恒常性が破綻した際の大脳の変容過程を解析することが可能となる。以上から、味覚障害に対する新しい検査法や治療手段を提案できる基礎データが蓄積され、今後の応用研究につながる可能性を示すことができた。
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