研究課題
基盤研究(C)
ぶどう膜炎は近接する組織に炎症が波及し、網膜や視神経に炎症が及ぶと不可逆的な視力低下を伴うことがあり、失明に至ることもある疾患である。日本眼炎症学会が発表した原因疾患の統計調査では、分類不能ぶどう膜炎は34%を占めている。また診断可能なぶどう膜炎においても、発症要因は判明しておらず、未だ確立した診断法・治療法がないのが現状である。本研究では実臨床で採取する組織サンプルを使用し、基礎的手法を用いて病態を明らかにするリバーストランスレーショナルリサーチを行い、新規診断法・治療法を探索する。
本研究では、大阪大学病院眼科におけるぶどう膜炎患者の臨床検査データ・眼科機器データの収集および眼内液採取を行い、眼内液マイクロバイオーム解析による眼内炎の診断および治療戦略の開発を目的としている。現在までに、550例のぶどう膜炎患者のデータを取得しており、眼内液採取についても順調に進んでおり、硝子体液250サンプルのストックを保有している。昨年度から本年にかけては、眼内液サンプルを用いたマイクロバイオーム解析を開始し、現在論文作成中である。また、本研究では、細菌性眼内炎および真菌性眼内炎において、マイクロバイオーム解析が有用であることを確認し報告しており、今後は診断だけでなく、的確な治療を提供するためのツールとしてマイクロバイオーム解析をさらに発展させていく予定である。さらに、本研究では、特発性黄斑円孔患者と比較したサルコイドーシス患者の細菌叢に異なりが見られることが明らかになった。現在は、サルコイドーシス患者の細菌叢についても探索中である。本研究の成果は、眼内炎の診断および治療に関する新しい知見を提供するとともに、マイクロバイオーム解析を利用した研究手法の発展にも貢献することが期待される。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、眼内液サンプルを用いたマイクロバイオーム解析により、細菌性眼内炎および真菌性眼内炎の診断・治療における有用性を検証している。患者データ収集については、終了している。現在までに十分な量のサンプルを収集することができ、分析に十分なデータを得ることができている。結果は論文として報告した。細菌性眼内炎および真菌性眼内炎において、マイクロバイオーム解析が大変有用であることが明らかになった。特に、診断だけでなく、個別の患者に合わせた的確な治療方法を提案することができることが期待される。これらの成果により、細菌性眼内炎および真菌性眼内炎の診断・治療において、マイクロバイオーム解析が有用であることが示されている。今後は、より多くのサンプルを分析し、より正確な診断・治療法を提供できるように努める。現在は臨床に応用出来るかどうか検討中である。
本研究は、硝子体液のマイクロバイオームに着目し、サルコイドーシスにおけるアクネ菌の影響を探索することを目的としている。さらに、細菌性眼内炎・真菌性眼内炎において、起炎菌の同定を行い、今後症例数を増加させ、臨床に用いるための開発を進めていく予定である。硝子体液のマイクロバイオームは、眼球内の微生物叢を指し、眼球内の病気に重要な役割を果たすことが示唆されている。本研究では、サルコイドーシス患者の硝子体液をサンプリングし、その中に存在するアクネ菌やその他の菌の存在を調査することで、サルコイドーシスの病態について理解を深めることを目指している。また、細菌性眼内炎・真菌性眼内炎においては、起炎菌の同定が治療法の選択に大きく影響するため、正確かつ迅速な同定方法の開発が求められている。本研究では、臨床検体からの起炎菌の同定を行い、今後の症例数増加に備え、より効率的かつ正確な方法の開発を目指す。
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すべて 雑誌論文 (29件) (うち国際共著 7件、 査読あり 29件、 オープンアクセス 18件) 学会発表 (33件) (うち国際学会 4件、 招待講演 18件) 図書 (4件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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