研究課題/領域番号 |
20K09777
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
野崎 実穂 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00295601)
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研究分担者 |
高瀬 範明 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (00812124)
小椋 祐一郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (70191963)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 糖尿病網膜症 / 汎網膜光凝固 / 従来凝固 / ショートパルス凝固 / 自発蛍光 / 眼底自発蛍光 / パターン凝固 / 瘢痕拡大 / レーザー網膜光凝固 / ショートパルスレーザー |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病網膜症治療で用いられているショートパルスレーザーは、治療効果が従来凝固よりも弱い危険性も示唆されてきている。本研究では、汎網膜光凝固の際、ショートパルスレーザーでは凝固数を増やしても、従来レーザーと同等の効果は得られないのか?という問いに答えるために、 (1)マウスを用い従来レーザーとショートパルスレーザーで光凝固後の網膜・脈絡膜の変化とサイトカイン出現の違いを眼底自発蛍光、免疫染色および分子生物学的手法で解析し、 (2) 臨床的に眼底自発蛍光で観察される凝固斑の低蛍光化の時期を、従来レーザーとショートパルスレーザーで比較し、糖尿病網膜症悪化との相関を後ろ向きに検討する。
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研究実績の概要 |
糖尿病網膜症に対する汎網膜光凝固は、失明を防ぐ重要な治療であるが、治療に伴う痛みや、視野障害といった合併症があった。近年登場したショートパルス凝固は、従来凝固より痛みが少ないという利点があったが、一方で瘢痕拡大が少なく、効果が弱いというデメリットも報告されていた。我々は、眼底自発蛍光を用いて、瘢痕サイズを定量する方法を確立し、ショートパルス凝固では従来凝固と比較して、治療後3年経過しても瘢痕の拡大率が有意に少ないことを明らかにした。また、自発蛍光を定量化するために、網膜血管アーケード近傍の凝固斑の自発蛍光の明度(mean grey value)とアーケード血管(静脈)の明度との比を算出する方法を確立した。 凝固後12か月までの凝固斑は、従来凝固では0.95、ショートパルス凝固では1.20と、両群とも凝固斑の自発蛍光は経時的に低下していったが、従来凝固がショートパルス凝固と比較して有意に凝固斑に明度は低い結果(p < 0.01)であった。さらに、今回は24か月まで経過観察期間を伸ばして比較したところ、18か月、24か月で従来凝固では 0.89, 0.85とさらに低蛍光化していたが、ショートパルス凝固では、 0.97、0.92 と有意に弱い低蛍光化であった。 さらに、低蛍光と瘢痕拡大率の相関を検討したところ、従来凝固で -0.95 (p=0.004)、ショートパルス凝固で-0.97(p=0.001)と非常に強い相関を認めた。 ショートパルス凝固を用いた網膜光凝固は、従来凝固と比べ凝固斑の低蛍光化が緩徐で、光凝固後のatrophic creepが生じにくい反面、汎網膜光凝固の虚血改善効果が緩徐となる可能性が示唆され、眼底自発蛍光を用いた評価法は有用と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文化が予定より遅れているが それ以外はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
OCT画像を検討に加え、3次元情報もあわせて、自発蛍光と瘢痕拡大率との相関しているメカニズムを解明する。
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