研究課題/領域番号 |
20K09778
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
丸山 悠子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (60516003)
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研究分担者 |
上野 盛夫 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40426531)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 角膜内皮細胞 / ミトコンドリア / エネルギー代謝 / エピジェネティック / 細胞内代謝経路 |
研究開始時の研究の概要 |
独自に保有するcHCEC亜集団を少なくも3種以上を対象とする。培養環境や眼前房環境への適応戦略の要に位置するエネルギー代謝の階層性の可塑性を明確にし、角膜機能不全患者病態に係る代謝産物やmiRNA(miR)を含む眼前房環境因子への組織適応応答と照合することで、分化機能破綻病態の修復を細胞内代謝経路の可塑性に求める世界初の試みである。病態の分子動態を細胞分化・脱分化機能破綻におけるエネルギー代謝経路の環境適応戦略に求める世界でも類を見ない試みである。
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研究実績の概要 |
環境因子(分泌型miRNA・Exosome)によるエネルギー代謝特性の変動の明確化のために前房水中のmiRNA特性を検討した。角膜内皮機能不全(水疱性角膜症:BK)患者と白内障患者(正常対照者:CAT)の前房水中のmiRNAを解析した。BK群とCAT群のそれぞれの前房水に高発現する上位50のmiRNAを抽出し比較した。BK群のみで抽出されたmiRNAは24種、BK群とCAT群の双方で抽出されたmiRNAは73種、CAT群のみで抽出されたmiRNAは24種であった。miR-184, miR-24-3p, miR-92b-5pはBK群とCAT群の双方で抽出され、BK群に比してCAT群で有意に高発現であった。培養ヒト角膜内皮細胞亜集団で、相転移細胞に比して成熟分化細胞で高発現しているmiR34aはBK群とCAT群の双方で低発現であった。miR-184, miR-24-3p, miR-92b-5pは培養ヒト角膜内皮細胞の培養上清中でも高発現で、miR-184, miR-24-3pは相転移細胞に比して成熟分化細胞で有意に高発現であった。miR-184は培養上清から抽出した細胞外小胞(EVs)中でも高発現であった。細胞間コミュニケーションにおいてEVs含有miRNAは効率的に働くとされている。miR-184 inhibitorが培養ヒト角膜内皮細胞亜集団のうち成熟分化細胞において、ミトコンドリア膜電位の脱分極を誘導し、生合成に係るperoxisome proliferator-activated receptor-gamma coactivator 1-α (PDC1α), voltage-dependent anion channel 1 (VDAC1), mitochondrial transcription factor A (TFAM) の発現を低下させることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19の流行で研究進行のために必要な米国アイバンクからのドナー角膜組織の入手が困難と滞たことが主たる理由である。ドナー角膜組織から培養角膜内皮細胞を作成し実験に使用しているため予定した実験計画に必要な十分な細胞を得ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
エネルギー代謝特性の変化と細胞競合現象との関連評価を行う。環境適応能力で勝る細胞が劣る細胞を能動的に排除する「細胞競合」の破綻が、培養ヒト角膜内皮細胞の代謝階層性に依拠して起こるか否か、そして角膜組織の機能不全病態に係るか否かの検証に挑戦する。成熟分化細胞と相転移細胞で細胞が内含する全てのミトコンドリアを染色するMTG染色と膜電位を維持したもののみを染色するTMRM染色を比較し、細胞競合の病態増悪における役割を明確にする。 環境因子(分泌型miRNA・Exosome)によるエネルギー代謝特性の変動の明確化する。培養系で推定された代謝産物の測定を、角膜内皮機能不全患者において前房水・血漿成分の代謝産物の測定を実施し、上述知見が、患者病態と直接的に関連するか照合する。
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