研究課題
基盤研究(C)
近年アジア圏を中心に近視保有者が急増しており、メディアで報道されるなど注目されている。近視は眼球の前後の長さである眼軸長が伸長することで生じるが眼軸が長いほど視覚障害の割合が増加することからその進行を抑制することが重要であるが効果的な抑制法・治療法が現存しない。本研究は近視眼では強膜(白目部分)において小胞体ストレスが生じていること、その抑制により近視進行がほぼ抑制されることを見出した。これは強膜小胞体ストレスへの介入により効果的な近視抑制・治療法を生み出せる可能性を示唆している。本研究は強膜小胞体ストレスと近視進行の関係を明らかにしその抑制法を生み出そうとするものである。
強膜小胞体ストレスは、PERKとATF6の両軸を活性化し、強膜コラーゲンのリモデリングを経て、近視発症に必須の制御因子であることを明らかにした。レンズ誘発近視(LIM)マウスでは、強膜にERストレスが認められた。ERストレスに対する薬理学的介入は、近視の進行を誘発または抑制した。LIMはIRE1、PERK、ATF6を活性化し、PERKとATF6を薬理学的に阻害すると近視進行が抑制された。LIMにおけるコラーゲン線維の薄膜化および制御不能なコラーゲンの発現は、4-PBA投与により改善された。強膜小胞体ストレスへの介入は近視抑制・治療薬として有望であることが示された。
近視はアジア圏を中心に急増している。眼球が前後方向に伸長することが近視の本体であるがその伸長により後眼部に物理的な負荷が加わることで視覚障害につながることが報告されてから眼軸伸長への介入の必要性が認識されるようになったが、効果的な方法は現存しない。本研究により見出された強膜小胞体ストレスへの介入は極めて効率的に眼軸伸長、近視進行を抑制したことから本研究を元とした薬剤開発は急増する近視に歯止めをかける可能性があり、社会的に非常に意義深い研究成果が得られた。
すべて 2023 2022 2021 2020
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 産業財産権 (3件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 24 号: 6 ページ: 5815-5815
10.3390/ijms24065815
Nature Communications
巻: Oct 10;13(1) 号: 1 ページ: 5859-5859
10.1038/s41467-022-33605-1
The FASEB Journal
巻: 36 号: 6 ページ: 22312-22312
10.1096/fj.202101947r
Proc Natl Acad Sci
巻: 118(22) 号: 22
10.1073/pnas.2018840118
American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism
巻: 321 号: 6 ページ: E766-E781
10.1152/ajpendo.00254.2020
Nutrients
巻: 12 号: 12 ページ: 3744-3744
10.3390/nu12123744
Journal of Visualized Experiments
巻: Nov 12 号: 165 ページ: 1-19
10.3791/61865
巻: 12 号: 1 ページ: 180-180
10.3390/nu12010180
Journal of Clinical Medicine
巻: 9 号: 12 ページ: 3951-3951
10.3390/jcm9123951