研究課題
基盤研究(C)
非興奮性細胞に於いても細胞内カルシウムイオンは重要な働きを担い、細胞外からの流入経路としてはTransient Receptor Potential (TRP)チャネルとStore-Operated Ca2+ (SOC)チャネルが報告されている。電位依存性Ca2+チャネルに注目している研究者は少なく、非興奮性細胞の電位依存性Ca2+チャネルの生理的意義を解明することを目的にしている。硬組織で電位依存性Ca2+チャネルのイオン通過路以外の新規生理機能にも注目し、非興奮性細胞での普遍的機能を見出す。
CACNA1Cのp.A36Vが日本人の超まれな一塩基変異体である可能性が示唆された。電位依存性Ca2+チャネルの補助サブユニット(α2/δとβ2サブユニット)を恒常的に発言したBHK細胞にコントロール又は本変異を導入したCACNA1Cを遺伝子導入した。3日後にBHK細胞にパッチクランプ法ホールセル法を適用し、膜電位固定下に膜電流を記録した。本変異によりCa2+依存性不活性化が減少し、変異チャネルを介した過剰なCa2+流入をもたらされた。これらの結果から、CACNA1Cにおけるこの新規一塩基変異体は、Ca2+恒常性に影響を与えることにより統合失調症の素因となる可能性が示唆された。
本研究はヒトの疾患の原因を臨床ゲノム研究から見出し、原因タンパク質を発現していない細胞に遺伝子を導入し、蛋白の機能解析を行った研究である。具体的には電位依存性L型カルシウムチャネルCACNA1CのA36Vが日本人の超まれな変異であり、統合失調症の一塩基変異である可能性が示唆された。BHK細胞にコントロール又は本変異CACNA1Cを遺伝子導入し、パッチクランプ法を用いて電位依存性L型カルシウムチャネルの機能解析を行った。電流のカルシウム依存性不活性化が抑制されカルシウム流入量が増加するgain-of-functionの変異であることが判明した。本成果は病態の解明と治療法の開発にヒントを与える。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
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