研究課題
基盤研究(C)
免疫系による正負のバランス制御(免疫制御)の破綻が感染症、自己免疫疾患、アレルギーやがんなどのさまざまな免疫疾患につながると考えられている。免疫チェックポイント分子として特にPDL1が知られているように、本研究ではその免疫制御に重要なB7ファミリーメンバーとして新たに同定されたILDR2分子に焦点を当て、その発現プロファイル、分子局在および免疫学的な機能を分子レベル、そして最終的には個体レベルで明らかにしていく。本研究は新たな免疫制御機構の解明ならびにそれらを標的とした画期的な免疫制御治療薬の開発にとって非常に大きな価値がある。
本研究では新規B7様分子であるILDR2の生理的意義を明らかにすることを目的として、免疫系における発現様式や機能解析研究を行うこととした。免疫系における膜貫通型ILDR2の遺伝子発現プロファイルをRT-PCR法にて調べたところ、抗原提示細胞(B細胞、樹状細胞)およびミエロイド系細胞において発現し、炎症抑制に関与することが示唆された。また、そのカウンター分子が活性化CD4陽性T細胞上に発現することが示唆された。機能研究を行うためマウスILDR2特異的モノクローナル抗体の取得を試みた。本研究期間内には目的とするモノクローナル抗体は得られなかったが、今後のモノクローナル抗体取得に期待したい。
現在、免疫制御の破綻が感染症、自己免疫疾患、アレルギーやがんなどのさまざまな免疫疾患につながると考えられている。現在のがん免疫療法における劇的な治療効果からもわかるように、PD-L1を代表とするB7ファミリー分子は免疫制御において重要な役割を担っている。B7様分子であるILDR2も同様な機能を持つことがわかれば、本研究で行ってきた抗体の開発過程は今後ILDR2を標的とした抗体医薬開発における重要な知見となる。
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Biochem Biophys Res Commun.
巻: 614 ページ: 100-106
10.1016/j.bbrc.2022.04.120
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10.1016/j.bbrc.2020.11.126