研究課題/領域番号 |
20K09908
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
片瀬 直樹 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (30566071)
|
研究分担者 |
藤田 修一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (00181355)
西松 伸一郎 川崎医科大学, 医学部, 教授 (20222185)
山内 明 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80372431)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 頭頚部扁平上皮癌 / 口腔扁平上皮癌 / DKK3 / 癌関連遺伝子 / 遺伝子機能解析 / 頭頸部扁平上皮癌 / 阻害ペプチド |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は頭頸部扁平上皮癌(Head and neck squamous cell carcinoma: HNSCC)に特異的に高発現する遺伝子としてDKK3を同定した。これまでにDKK3がAktのリン酸化を活性化しHNSCC細胞の悪性度を増大させることを報告し、DKK3は新規治療法開発のターゲットとして極めて有望であると考えられる。DKK3は分泌型/非分泌型の2種類のタンパクをコードし、細胞内/外からAktのリン酸化を活性化すると考えられることから、本研究ではDKK3のAktの活性化に関わる機能ドメインに対する抑制ペプチドを開発、HNSCCの中分子創薬実現を大きく前進させるものである。
|
研究実績の概要 |
研究代表者らは、頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)で特異的に高発現を示し腫瘍細胞の悪性度を規定する分子としてDKK3を同定し、解析を続けてきた。これまでにDKK3にコードされる分泌型/非分泌型タンパクは細胞外のレセプターや細胞内のエフェクタータンパクとの結合を介してAktを活性化し、腫瘍細胞の増殖・浸潤・遊走を有意に増大させることを明らかにしている。本研究ではDKK3をターゲットとした腫瘍制御の開発を目指し、DKK3の機能ドメインを抑制する相補性ペプチドの開発を目的としている。 前年度までにDKK3の機能ドメインが二つのcysteine rich domainにあることを特定し、その中のアミノ酸配列に対して相補性ペプチドをデザインした。DKK3タンパクとペプチドのモデルをRaptor Xで作成してClusPro2でドッキングシミュレーションを行い、最も結合能が高いペプチドの組み合わせを同定、実際にペプチドを合成してin vitroでの効果の確認を行った。 本年度は、in vivoでのペプチドの腫瘍抑制効果を確認した。ヌードマウス背部皮下にHNSCC由来細胞株を注入して腫瘤を形成させ、ペプチドを腫瘍100mm^3あたり100nMで注入すると腫瘍細胞の増殖が有意に抑制された。組織学的検討でもペプチドでの治療群は細胞増殖のマーカーであるKi-67陽性率が有意に低下しており、ペプチドによる腫瘍治療効果が確認できた。 これまでの研究成果はCancer Cell International誌にOpen access論文として掲載されたほか、長崎大学プレスリリースや日本の研究.comでも取り上げられ、Medical Science Digest誌にも関連記事が掲載された。また、HNSCCにおけるDKK3のレセプターのCKAP4発現に関する研究についても発表を行い、日本口腔内科学会・日本臨床口腔病理学会・日本口腔診断学会合同学術大会において大会長賞を受賞し、論文がOral Diseases誌に掲載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実験が予想よりも順調に進捗し、来年度に予定していた論文発表までを行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
ペプチドの実用化に向け、安全性の確認および既存の抗癌剤に対する優位性の検証を行う。
|