研究課題/領域番号 |
20K09920
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
和田 裕子 九州大学, 歯学研究院, 助教 (70380706)
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研究分担者 |
清島 保 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20264054)
藤井 慎介 九州大学, 歯学研究院, 講師 (60452786)
長谷川 佳那 九州大学, 歯学研究院, 助教 (30793989)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 歯の再生 / 器官形成 / 上皮間葉相互作用 / 歯 / 再生 / 間葉系幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
「歯の再生医療」の具現化には、上皮間葉相互作用を含む歯の発生メカニズムの解明が重要である。 我々はこれまでに歯胚上皮由来のエナメル質形成に重要な因子を認めた。 しかしながら、歯の主体をなす歯胚間葉由来の象牙質の発生に関わる特異的な因子の同定には至っていない。 そこで本研究では、微量RNA seq解析により歯胚発生過程の上皮間葉相互作用における間葉系幹細胞に重要な特異的因子を同定し、その発現様式と分子機構および機能を解析する。
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研究実績の概要 |
歯胚発生過程の上皮間葉相互作用における上皮系幹細胞と間葉系幹細胞に重要な特異的因子を同定し、上皮間葉相互作用や歯の形態形成にどのように関わっているかを明らかにする目的で研究を行っている。 これまでに微量RNA-seq解析により、胎生18日齢(E18)マウス臼歯歯胚における上皮と歯乳頭および歯小嚢に高発現する遺伝子群をそれぞれ検出し、歯乳頭に有意に高発現を認めるFactor Xと歯小嚢に有意に高発現を認める遺伝子群Yの解析を進めている。 本年度は、マウス歯胚発生過程における帽状期、鐘状期前期、鐘状期後期、歯冠形成期および歯根形成期におけるFactor Xの発現について検討したところ、免疫組織学的に胎生期には歯乳頭の血管内皮細胞に強く発現を認め、生後の歯胚では象牙芽細胞と歯髄の血管内皮細胞に発現を認めた。マウス歯髄間葉細胞株mDPを用いてFactor XのsiRNAを行ったところ、骨芽細胞や象牙芽細胞の分化に関わる因子であるRunx2の発現が有意に抑制された。これらの結果より、Factor Xが歯の形態形成および象牙芽細胞の分化に関わる可能性が示唆された。 歯小嚢に有意に高発現を認める遺伝子群Yについても、同様に発現解析を進め、胎生期に歯根膜に特異的に発現していた因子Y1とY2は、生後の歯胚で歯根膜だけでなく歯髄や象牙芽細胞にも発現を認めた。また、E18歯胚の歯小嚢細胞株の樹立に成功し、in vitro 実験に用いたところ、両因子の発現を認めた。さらに、E14歯胚の間葉細胞株の樹立にも成功し、両細胞株を用いて石灰化誘導実験を試みた。以上より、遺伝子群Yにおいても歯の形態形成に重要な因子である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
微量RNA-seq解析により、E18歯胚の歯乳頭細胞と歯小嚢細胞にそれぞれ高発現遺伝子群として同定された複数の新規遺伝子について、歯胚発生過程における免疫組織学的な発現を検討し、in vitro実験ではsiRNAを用いて各候補因子の発現抑制を行い、歯の関連因子の発現量の変化について検討した。また、E18歯胚の歯小嚢細胞とE14歯胚の間葉細胞の細胞株の樹立に成功し、石灰化誘導実験を試みた。mDP細胞株に加えこれらの細胞株も用いて次年度以降も研究を遂行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
siRNA等を応用し各候補因子の発現抑制、各候補因子をサブクローニングしたベクターを細胞株に導入し各候補因子の強制発現を行い、細胞増殖能の検討および歯胚の細胞分化に及ぼす影響を検討する。さらに、それらの因子について器官培養法を用いた機能解析を実施する。
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