研究課題/領域番号 |
20K09943
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 愛知医科大学 (2021) 大分大学 (2020) |
研究代表者 |
宮崎 英隆 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (70420271)
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研究分担者 |
中尾 龍馬 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (10370959)
工藤 敏文 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (50431911)
平山 悟 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70778555)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 歯周病 / Porphyromonus gingivalis / Pg / メンブレンヴェシクル / 細菌 / 慢性炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔細菌の関与とそのメカニズムを解明することを目指して、本研究では以下の一連の研究計画を立てた。まずMVが口腔粘膜上皮や 血管内皮を攻撃した時に生じる炎症・免疫応答を包括的に検討する。さらに高速原子間力顕微鏡を活用し、MV添加による各種細胞の形態変化をリアルタイムでナノイメージングする。 一方で、Pgに由来するMVの高感度検出法を確立し、実験モデル動物や実際の歯周病患者、糖尿病患者、下腿の潰瘍の患者などから臨床検体 (唾液・血液・切除組織など)を得て、臨床検体からのPgの単離やMVの同定を行う。
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研究実績の概要 |
歯周病の主たる原細菌であるPorphyromonus gingivalis (以下Pg)は、近年歯周病のみならず全身に生ずる様々な炎症性疾患の発症起点もしくは増悪因子となると考えられている。近年、Pgが菌体外に放出する微粒子である細菌由来膜小胞;メンブレンヴェシクル(以下OMV)が、その安定的なナノ粒子構造体に多種多彩な病原因子と免疫賦活因子を内包していることが明らかとなった。申請者は、歯周病のみならずさまざまな全身疾患発症におけるPgの放出するOMVの関与とそのメカニズムを解明することを目指して一連の研究を行っている。まず、PG菌 のOMV の産生様式についての新たな知見を得た。異なる条件で産生されるPg-OMVを、高速AFM、及びFE-SEM等の高分解能顕微鏡を用いた形態構造解析、分子レベルでの組成解析に供試し、比較検討した。その結果、Pg-OMVの産生様式として、通常の生育過程で産生される様式と、ある種の化学物質などがPg菌体に作用して産生誘導される様式の2通りが存在することが明らかとなった。前者と後者のOMVの組成やその表面の物理化学的特性は異なっており、特に後者のOMV産生は、Pgの生育に必須の栄養取得の阻害や、その主たる病原因子であるジンジパイン活性阻害の両方に関連することが明らかとなった。次に 大腸菌のOMV産生のライブイメージング技術へ応用が期待されるグラフェンサンドイッチ法に関する基盤的知見を得た。また、レンサ球菌や大腸菌の細菌膜小胞の産生メカニズムの一端を明らかした。現在、Pg-OMVの生体内での遠隔臓器への移行・蓄積、その病態形成への関与を BALB/c、C57/BL6、膵上皮内腫瘍性病変発症、膵癌発症 の4系統のモデルマウスを用いて検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
国内におけるコロナ感染症の蔓延のため、研究代表者および研究分担者は移動が著しく制限があり、特に東京で予定されていた実験が不可能な状態となった。2021年度より研究代表者および分担者は改めて研究計画を見直し、計画に基づいて研究を行っているが、まだ研究の遅れを取り戻すまでには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度よりこれまでの遅れを取り戻すべく、研究代表者および分担者は改めて実験計画の見直しを適宜行ないつつ、研究をすすめている。 現在は当面はPg菌を培養し、これらの培養上清から超遠心分離法でMVを回収し、動物への接種実験等を行っている。今後細胞毒性実験や慢性炎症とサイトカインを介したシグナリングについての詳細な解析また臨床材料を用いた研究も行う予定である。引き続き、研究代表者および各研究分担者は密接に連絡を取りながら研究を推進していく予定である。
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