研究課題/領域番号 |
20K09952
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊藤 祥作 大阪大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (90360495)
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研究分担者 |
阿部 真土 大阪大学, 大学院歯学研究科, 講師 (40448105)
成瀬 陽菜 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (60823515)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 根管貼薬剤 / Wnt/β-catenin シグナル伝達経路 / 炭酸リチウム / Wntシグナル / 炭酸カルシウム / リチウムイオン / 組織再生 |
研究開始時の研究の概要 |
先行研究により,根尖性歯周炎モデルマウスにLiClを根管貼薬剤として用いたところ,根尖病変の治癒を促進するという結果が得られている。そこで,すでに抗うつ剤として処方され,安全性が担保されている炭酸リチウムを根管貼薬剤として用いた場合,同等の効果を有するのか検証する。予備実験的ではあるが,同等の効果があるという結果は既に得ている。また,骨髄から調整した間葉系幹細胞は,拡大した根尖病変の再生に適しているのかどうかも検証したい。具体的には,申請者らが開発した方法にて濃縮された幹細胞集団(HipOP)を根管から根尖病変内に填入し,経時的に組織再生の状態を病変体積変化および病理組織学的観察にて評価する。
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研究成果の概要 |
炭酸リチウム貼薬群では,コントロール群と比較して根尖病変の治癒促進が認められた。炭酸リチウムの根管貼薬による根尖病変治癒促進のメカニズムは,まず,Wnt/β-catenin シグナル伝達経路が活性化することがきっかけとなる。これに引き続き,M1 マクロファージの分化抑制,M2 マクロファージの分化促進,制御性 T 細胞の分化誘導が起こり,免疫系の制御が行われる。これらの機序が働くことで,根尖病変内の炎症状態が早期に収束し,抗炎症状態へ移行,治癒に適した環境が整えられたと考えられる。そして,骨芽細胞の分化が誘導されることにより,硬組織の形成がすすみ,根尖病変体積の縮小が促進されたと考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでの根管貼薬剤は, 主に起炎細菌の殺菌・静菌を目的に開発されてきたのに対し,本研究は,宿主細胞内シグナル伝達経路を活性化して, 病変の治癒を賦活化する根管貼薬剤を開発するというものである。研究の結果,炭酸リチウムはWnt/β-catenin シグナル伝達経路を活性化し,M1 マクロファージの分化抑制,M2 マクロファージの分化促進,制御性 T 細胞の分化誘導がおこり,治癒に適した環境が整えられた。そして,硬組織の形成も誘導された結果,根尖病変体積が縮小した。本研究成果により,歯根端切除術を回避できる症例が増えることが予測され,超高齢社会において,大きなメリットをもたらすと考えている。
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