研究課題/領域番号 |
20K09969
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
松崎 英津子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (20432924)
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研究分担者 |
高橋 富美 産業医科大学, 医学部, 教授 (50274436)
阿南 壽 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 病院顧問 (80158732)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 再生歯内療法 / 歯乳頭由来幹細胞 / S1Pシグナル / 歯髄血管再生療法 / S1P |
研究開始時の研究の概要 |
失われた象牙質・歯髄の構造と機能をスフィンゴシン-1-リン酸 (S1P) シグナルの応用により早期に回復し、新しい歯髄血管再生療法を目指す。本研究は「歯を保存する」治療法開発へと繋がる研究である。 S1Pシグナルを介した歯乳頭由来幹細胞 (SCAP)の象牙芽細胞分化メカニズムの解明と、臨床実用化を目指したS1Pによる歯髄血管再生療法の検証を行う。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、マウス歯乳頭尖端前駆細胞 (iSCAP)に、S1PおよびBMP-9を添加し、象牙芽細胞分化に及ぼす影響について検討した。前年度、象牙芽細胞分化マーカー発現が安定しなかったため、石灰化誘導培地下で再検討し、S1P添加後1-14日の象牙芽細胞分化マーカーmRNA発現について解析した。Dentin sialophosphoprotein (DSPP)、Dentin matrix acidic phosphoprotein 1 (DMP-1) mRNA発現は、S1P、BMP-9添加により1日目から有意に増加した。Matrix extracellular phosphoglycoprotein (MEPE) は7日目から発現を認め、S1P、BMP-9添加により14日目で有意に増加した。次に、S1P受容体のひとつであるS1PR1の阻害剤W146を添加すると、S1PによるDSPP、DMP-1発現増加は有意に抑制され、MEPEも抑制傾向を示した。一方で、W146の添加は、BMP-9によるDSPP、DMP-1、MEPEの発現増加に影響を及ぼさなかった。また、DSPPのタンパク質分泌について、ELISA法により検討したところ、S1P添加により3日目で有意に増加した。この発現増加は、mRNA発現と同様にW146添加により有意に抑制された。他方、BMP-9添加により、DSPPタンパク質発現は7日目で増加したが、W146は影響を及ぼさなかった。 また、iSCAPを脂肪細胞分化誘導培地下で培養すると脂肪滴が形成され、脂肪細胞に分化した。S1Pの添加により脂肪滴の形成は抑制され、W146を添加するとS1Pによる脂肪的形成抑制作用は阻害された。 以上のことから、S1PR1シグナルがiSCAPの象牙芽細胞分化、脂肪細胞分化抑制に関与する可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
S1PR1メカニズムの関与についてin vitroでの解析に時間を要したことにより、動物実験の実施に及んでいない。一方で、動物実験の実施については、異なる研究課題において同手法を応用する共同研究者のもとで、精密な実験手法を修得した。
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今後の研究の推進方策 |
修得した動物実験手技を用いて、動物実験の実施と解析を実施する。
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