研究課題/領域番号 |
20K09972
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
平石 典子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (20567747)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | フッ化物 / エナメル質 / 象牙質 / 核磁気共鳴装置 / フルオロアパタイト / フッ化カルシウム / 固体核磁気共鳴装置 / 歯質ミネラル / う蝕予防 / X線回折 / 固体核磁気共鳴 |
研究開始時の研究の概要 |
う蝕予防のためのフッ化物の応用は、世界の各国と比較し、日本は60%程度の低い普及率である。推奨のために、高度分析技術を応用したエビデンスを提供する必要があるが、フッ化物効果を、分子、原子レベルでの的確な分析は少なく、幼弱と成熟エナメル質での反応性の違い、健全象牙質と脱灰象牙質への効果の違いを検討した報告はない。結晶学分析的観点から、歯質ミネラルとの反応生成物を同定すべく、固体核磁気共鳴(NMR)測定法を応用する。ライフステージを考慮した、安全かつ有効な再石灰化機序に基づくフッ化物応用法を確立し、その進展を目指す。
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研究実績の概要 |
これまでの研究で、ヒトとウシの歯のエナメル質と象牙質の結晶性ナノ構造に違いがあるものの、フッ化物への反応性に大きな差異があることが判明した。特にエナメル質は既に低い反応性を示すため、2%の高濃度フッ化物を短時間塗布しても歯質改善効果は少ないと推測された。フッ化物の歯質強化および脱灰抑制の作用を調べるために、19F核磁気共鳴(NMR)および19F固体(SS)魔法角回転(MAS)NMRを用いた研究を行った。 使用した高濃度フッ化物は、i) 2%中性フッ化ナトリウム(N-NaF)、ii) 2%酸性フッ化ナトリウム(A-NaF)、iii) 38%フッ化ジアンミン銀(SDF)の3種類である。ウシエナメル質粉末を各フッ化物製剤で処理後、脱水して19F SS-MAS NMR測定を行った。酸性、中性、アルカリ性条件下でのCaF2のフッ化物徐放性を19F NMRで評価したところ、すべての製剤で水性F-のピークが確認された。SS-MAS NMRとスペクトルデコンボリューションにより、すべての処理エナメルからフルオロアパタイトとCaF2の2つの主要なピークが検出された。N-NaFとA-NaFを比較すると、A-NaFの方がより強いシグナルを示した。一方、SDFではアルカリ性の影響でフッ化物生成が少なかった。いずれの処理でもフルオロアパタイトとCaF2が生成され、特にA-NaFは酸性であるためエナメル質表面を溶解し副生成物を生成しやすいことが示された。CaF2は様々な条件下で微量のフッ化物を長期間放出する可能性があるが、そのreservoirとしての役割には疑問が残った。本研究の結果は、2024年3月のIADR国際大会で口頭発表(19F-NMR Study of Fluoride Reaction of Various Formulations on Enamel)にて報告された。
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