研究課題/領域番号 |
20K09979
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
神尾 直人 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (10508774)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 歯髄 / 炎症 / 細胞・組織 / CXCR4 / シグナル伝達 / MIF / 細胞 / ヒト歯髄 / COX-2 |
研究開始時の研究の概要 |
いかに歯髄炎を予防、治癒させるかが歯髄保存療法の鍵と言える。臨床的には感染性露髄症例に対し、従来の抜髄処置ではなく部分断髄などが行われているが、適応が明確とはいえない。プロスタグランジンE2の産生は一般的には炎症拡大に寄与するが、一方で歯髄では修復象牙質の形成に関与する点で重要である。特に歯髄におけるMIFの受容体として報告したC-X-C motif chemokine receptor (CXCR) 4もまた炎症歯髄組織で発現が増加する一方、未分化細胞から象牙芽細胞へと分化する過程でも発現が促進する。本研究ではMIFとCXCL-12を用いてCXCR4の機能の詳細について検討する。
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研究成果の概要 |
歯髄炎時もしくは象牙芽細胞へ分化する過程におけるCXCR4の機能について検索し、歯髄培養細胞を用い、IL-1bやブラジキニンが刺激後数日でmRNAおよびタンパク質発現を促進させることを解明した。しかしながらPGE2は影響を与えなかった。炎症性刺激を与えた細胞で、細胞内カルシウムイオン濃度の変化がみられるか、CXCL12、MIFで検討したものの、無刺激時と比べて有意に増加させるものは確認されなかった。同様のケモカイン受容体としてCX3CR1でも検討し、炎症性刺激におけるmRNA発現、タンパク質発現を確認し、さらにCX3CL刺激は硬組織形成能を促進することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
歯髄は一度炎症を起こすと改善が困難な組織である。歯髄の有無が歯の寿命だけでなく認知症や寿命そのものにまで影響を与え、歯髄保存療法の適応拡大は歯科臨床医にとって急務である。CXCR4はケモカイン受容体のひとつで、受容体とそのリガンドは基本的には炎症の拡大時に増強されるが、それと同時に歯髄では治癒機転を促進する可能性がある。本研究で炎症モデルの細胞ではCXCR4の発現が増強されるものの、そのリガンドの作用では治癒機転への影響は確認できなかった。一方で、同様のケモカイン受容体であるCX3CR1は炎症の拡大と治癒機転への影響が確認され、歯髄炎と治癒とを関連付ける因子であることが示唆された。
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