研究課題/領域番号 |
20K09998
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
宮崎 隆 昭和大学, その他部局等, 特任教授 (40175617)
|
研究分担者 |
柴田 陽 昭和大学, 歯学部, 教授 (30327936)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | エナメル質 / ハイドロキシアパタイト / 漂白 / 再生 / 低温アニーリング / 単斜晶アパタイト / 齲蝕 |
研究開始時の研究の概要 |
エナメル質の最小構造では,重量比で90%を超えるアパタイト微結晶が高密度に配向している.成熟エナメル質のアパタイト結晶は誘電率の低い六方晶であり,再生能力に乏しい.胎生期のエナメル質は非晶質ながら誘電率の高い単斜晶の対称性を示しているため,石灰化を促進しエナメル質全体の発生に関与する.したがって,エナメル質結晶構造を胎生期の単斜晶に遷移(初期化)により,新たなエナメル質齲蝕治療の可能性が開ける.
|
研究成果の概要 |
エナメル質の最小構造モチーフはハイドロキシアパタイトの六方晶構造とエナメルタンパクの複合体である.これらナノ結晶が成長を競い合う粒界三重点は生来的に酸による侵襲を受けやすくう蝕に罹患しやすい.粒界三重点を漂白によって除去すると,アパタイト結晶は最も安定な状態に回復しようとする力が働き,結晶構造が単斜晶に遷移する.同時にフッ素イオンとストロンチウムイオンが導入されると,単斜晶状態が維持できるため,エナメル質は胎生期の石灰化能力を発揮し,エナメル質初期齲蝕の著しい再石灰化が見られる.本研究結果は従来の罹患歯質切削に依存した歯科治療と大きくことなる新たな齲蝕修復治療の可能性を示唆している.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
齲蝕は予防できることが最も望ましいが,発生してしまった場合にはエナメル質表層下が侵食された状態のうちに進行を阻止することが有効な手段である.一般臨床で齲蝕の治療法は,国内外を問わず患部を機械的に除去後,レジンや金属などの修復材料を,接着システムを介して患部に接着する方法である.本研究の成功により,チェアーサイドにおいて,少なくとも初期齲蝕では機械的切削を行わず,エナメル質を再生することが可能になる.再石灰化治療が健全歯を増やし,歯科治療はこれまでの切削・充填中心の治療から,予防中心のケアに移行する可能性がある.本研究成果は,我が国の健康長寿に貢献する将来の歯科医療の中心になることが期待できる.
|