研究課題/領域番号 |
20K10004
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
橋本 正則 大阪歯科大学, 医療保健学部, 教授 (00337164)
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研究分担者 |
元根 正晴 大阪歯科大学, 医療保健学部, 教授 (40826616)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 金属ナノ粒子 / 粒径 / シングルスケール / 細胞毒性 / エンドサイトーシス / 単分散 / 抗菌性 / 生体安全性 |
研究開始時の研究の概要 |
金属ナノ粒子の構造はバクテリアの菌体外膜と生物模倣性がある。菌体外膜と付着し高い抗菌性を発現する。また、同じ粒度の粒子がそろった単分散粒子の菌体付着性は高い。さらに粒径が10 nm未満のシングルスケールの粒子は、その表面効果から菌体への付着性は極めて高く、微量で良好な抗菌効果およびバイオフィルム形成阻害作用を発現する可能性がある。そこで本研究では口腔細菌に対する抗菌性およびバイオフィルム形成阻害作用を有し、細胞毒性を発現しない単分散シングル金属ナノ粒子の開発を目的とした。
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研究実績の概要 |
シングルスケール銀ナノ粒子(粒径 10 nm以下)をRAAW264細胞に曝露した実験で、粒径 10 nm以上のナノ粒子と比較した。その結果、細胞毒性試験(WST-8 assay)では、有意な(p < 0.05)細胞毒性が認められた。シングルナノ粒子で細胞毒性、細胞活性、細胞数などに与える影響が大きいと推測される。ナノ粒子の曝露における細胞膜に観察される変化では、シングルナノ粒子で”pit formation”が多く認めれる傾向が強いが、形態定量における詳細な分析が必要であり、今後、継続的に研究を行う予定である。ナノ粒子の細胞内における局在については、透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行ったが、シングルスケールナノ粒子において、バルーン形状に膨張した細胞が多く観察できた。レセプター依存性のエンドサイトーシスは観察されなかった。細胞膜の変化も粒子径の影響は認められなかった。これについても、さらに試料数を増して実験を継続する必要性があると考えている。今後、ナノ粒子の細胞への曝露濃度を高濃度に調整した実験群を設定して、新たな研究テーマとする計画である。 シングルスケール白金ナノ粒子(粒径 10 nm以下)をRAW264細胞に曝露した実験では、10 nm以上のナノ粒子と比較すると、両群において細胞活性の低下が認められたが、両群に統計学的な有意差は認められなかった(p > 0.05)。しかし、フローサイトメトリーの結果、Live & Dead染色においては有意な差は認められなかった(p > 0.05)。しかし、アポトーシスアッセイでは、シングル白金ナノ粒子において、高濃度群でネクローシスの発現が有意(p < 0.05)に大きかった。以上の結果から多方面からの分析が必要であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本学で使用している透過型電子顕微鏡(TEM)の老朽化などで、形態観察を行う実験の回数が減少した。現在、他の実験施設でTEMを使用しているが、操作方法をある程度マスターするのに時間が掛かった。フローサイトメトリーの実験系を組み入れたが、試料作製などテクニックの習得に時間を要した。また、実験に使用する薬品、特に外国製アッセイキットが高額になり、実験回数を減少する必要性に迫られた。
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今後の研究の推進方策 |
電子顕微鏡(SEMおよびTEM)観察での試料数を増加させて形態定量による分析を行う予定である。 さらに、フローサイトメトリーのアッセイ条件を増やし、シングル金属ナノ粒子が細胞に与える影響を精査する予定である。また、蛍光顕微鏡観察、リアルタイム定量PCRによる解析も予定している。
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