研究課題/領域番号 |
20K10016
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
片岡 有 昭和大学, 歯学部, 講師 (90527300)
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研究分担者 |
柴田 陽 昭和大学, 歯学部, 教授 (30327936)
宗像 源博 昭和大学, 歯学部, 准教授 (90396987)
山口 菊江 昭和大学, 歯学部, 助教 (40710421)
成澤 英明 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (80231497)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 骨移植材 / リン酸カルシウム / CAD/CAM / 3Dプリンター / 骨補填材 / ナノインデンテーション |
研究開始時の研究の概要 |
現在行われている骨補填材を併用する口腔インプラント治療が、インプラント治療による早期機能回復に寄与することは、多く報告されている。しかしながら、生体反応は分子・ナノレベルの反応でもあるにもかかわらず、その界面での石灰化メカニズムについては未だ明らかにされていない。今研究では、今まで申請者らが検討してきたナノレベルでの分析機器を用いた検討を行うことで、それらを明らかにしようとする先駆的なものである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は骨補填材の生体反応を明らかにすることで、新たにオーダーメイドの骨補填材を創出し超高齢社会に適した骨質改善を視野に入れた口腔インプラント治療を可能にすることである。超高齢社会で口腔インプラント治療の対象となる症例で骨補填材が多用されているにもかかわらず骨補填材界面の微小領域の生体反応は未だ明らかにされていない。その結果、骨補填材を併用するインプラント治療は、術者の経験を基にした検査・診断を基に術前・術後の評価が行われているのが現状である。 2020年度は3Dプリンター用材料の開発に取り組んだ。矯正歯科領域において、アライナー型矯正装置を3Dプリンターから直接プリントすることが検討されていて、一般的に既存材料にはビスフェノールAやアンチモンが含まれ、人体への影響が危惧され、本課題で考えている骨移植材の構築には適さない。そこで機械的強度が高く、生体為害性のない3Dプリンター用材料の従来型バイオコンポジットレジ(EBR)の研究を継続して行ってる。今年度は、EBRに改良を加えた改良型バイオコンポジットレジン(mEBR)を行った。吸水試験においてはEBRおよびmEBR共に対照試料と比較して有意に大きい値を示したが、3点曲げ試験では吸水後にEBRと比較してmEBRは有意に大きい値を示した。細胞毒性試験ではmEBRは70.0%未満となる相対コロニー形成率の低下が認められた。mEBRは本課題で考えている傾斜型骨移植材の成形に有効であることが明らかになった。 2021年度は、新規に3Dプリンターを準備し、STLデータから任意の生体材料形状を構築することができた。また、骨移植材を混和することでリン酸カルシウムを含有するコンポジットレジンを製作することが可能であることが分かった。 2023年度はこれらの生体適合性試験など、材料評価を主体に行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画では3年度にわたり次の計画を立てた。2020年度には①既存骨補填材の結晶微小領域の分析、②最表層超微小領域(ナノ)での石灰化硬組織結晶の理工学物性の解明(in vitro)、2021年度には③最表層超微小領域(ナノ)での石灰化硬組織結晶の「理工学物性の解明」(in vivo)、④骨補填材最表層超微小領域での石灰化硬組織結晶の「メカニズムの解明」、2022年度には⑤3Dプリンターを用いた3次元傾斜機構型骨補填材の試作を考えていた。2020年度は、共同研究者が集合して研究を行うことが困難であったために①~④を遂行するのは困難であった。しかしながら、2021年度遂行すべき内容を進めることができ、研究結果も論文掲載できた。計画していた段取りとは一部異なるものの一定の結果を得ることができたと考えている。2022年度は動物実験(in vivo)が予定通りに進まず、2023年度に研究機関を延長して取り組む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度から2022年度に結果を得られた結合材として用いるレジン材料のデータを元に、3Dプリンターを用いた3次元傾斜機構型骨補填材の試作が可能になると思われる。使用可能とされている3Dプリンターを用い、結合材とリン酸カルシウム結晶を混和し造形を既に行っており、今後、結合材を除去するための加熱処理により結晶性を加味し加熱時間を調整する。2023年度は「既存骨補填材の結晶微小領域の分析」をする。各種市販骨補填材を実験に供す。通法に従い、試料をレジン樹脂に包埋し、試料を割断し研磨したものを分析に用いる。顕微エックス線回折により、ハイドロキシアパタイト結晶の異方性を求める。また、ナノインデンテーションを用い、骨補填材の微小領域評価(弾性係数および硬さ)を総合的に行う。これらを基に動物実験(in vivo)を行う。ラット頭蓋骨に直径5㎜の穴をあけ骨移植材を填入し、その経過を追う予定である。本来、細胞培養(in vitro)も行う予定であるが、研究期間を見て論文投稿まで完了できるスケジュールで組み立てる予定である。
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