研究課題/領域番号 |
20K10031
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
|
研究分担者 |
荒井 良明 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (10301186)
黒川 孝一 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60215085)
田中 茂雄 金沢大学, フロンティア工学系, 教授 (20262602)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 歯学 / 骨応力予測 / 口腔インプラント |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の主な目的は臨床経過の追跡中の症例において、インプラント周囲炎に起因せず、辺縁骨吸収が生じた際、インプラントの周囲骨の応力・ひずみを機能負荷開始時における同部位の応力・ひずみと比較し、その相違と辺縁骨吸収との関連性を探索することである。そのために、多くのインプラント検討症例を対象に「初期モデル」の骨梁三次元有限要素モデルを作成し、応力を算出・アーカイブしていく。インプラントの経過観察中に骨吸収が生じた際に、新たな「骨吸収モデル」を作成し、応力解析を行う。辺縁骨吸収の観点から初期・骨吸収両モデルにおける応力・ひずみ分布の比較検討を行い、インプラント過重負担と辺縁骨吸収の関連性を探索する。
|
研究実績の概要 |
2023年度は昨年に引き続き、研究対象となる下顎臼歯部にインプラント治療を予定し、かつインプラント埋入計画の段階での歯科用コーンビームCT(CBCT)またはヘリカルCT検査を受け、データ利用の同意を得られた対象者からCT画像データを収集した。このデータは「初期モデル」の骨梁3次元有限要素モデルのベースとなる。また、研究対象者登録後の治療計画の進展に伴い、モデル荷重条件設定に必要となるインプラントの機能開始後、定期的に測定された咬合圧のデータを入手した。(研究分担者および研究協力者(山崎裕太)) 2023年度以前はCBCT画像データを用いて骨梁3次元有限要素モデルを作成する際、作業用模型のインプラントアナログの位置をガイドとして使用し、インプラント体の埋入位置を再現してきたが、当該年度はより多くの臨床症例に即したシミュレーションを可能にするために、作業用模型を用いないフルデジタルワークフローで製作されたインプラント支持クラウン症例やヘリカルCTを治療計画に用いられた症例においても骨梁3次元有限要素モデルの作成手法を構築し、その3次元有限要素解析を行い、インプラント周囲骨内のひずみを解析した。本手法によってフルデジタルワークフローで製作されたインプラント支持のクラウン症例に対しても、金属体によるアーチファクトを回避し、口腔内のインプラント体の埋入位置をモデル上に正確にシミュレーションができる手法が構築された。 一方、ヘリカルCTの解像度はCBCTの解像度の5分の1程度であるため、ヘリカルCTデータをベースとした骨梁3次元有限要素モデルは一次近似として作成し、モデルやその作成法のさらなる検証が必要であると考えられる。 なお、全対象者においてメインテナンスの際、異常な辺縁骨吸収は認められなかったことから当該年度も「骨吸収モデル」の対象となるデータを得る状況は発生しなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度まではインプラント周囲骨の力学解析に必要な3D-FEMモデルを作成する際、作業用模型のインプラントアナログの位置をガイドとして使用し、インプラント体の埋入位置を再現したが、近年急速に口腔内スキャナーを用いた光学印象法が応用され、インプラント臨床では作業用模型を用いないフルデジタルワークフローのインプラント症例は増加傾向となった。そのような症例も本研究対象として対応可能にする必要があり、フルデジタルワークフロー症例に対応できる骨梁3次元有限要素モデルの作成手法を新たに構築することができた。 また、インプラント治療を計画する際に頻繁に用いられているヘリカルCT画像は画質上で骨梁3次元有限要素モデルの作成に用いることは困難を伴うが、当該年度はそのモデルの作成を検討し、一次近似として1症例においてヘリカルCT画像をベースとした骨梁3次元有限要素モデルを作成した。 本研究課題を進めるに当たって昨年度まで対応が不可能であった作業用模型を用いない症例においても当該年度に代替手法を構築できたこと、ヘリカルCT症例についても新たな手法を検討したことやそれらの研究結果は国際・国内学会で発表したことから、現在までの達成度がおおむね順調に進展していると評価している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後,症例に合わせて、フルデジタルワークフロー症例には当該年度に成立させた構築手法を、作業用模型を用いる症例には従来の構築手法を用いて各症例において機能負荷開始後、インプラント体の周囲骨の応力・ひずみを求めた上でインプラント周囲骨の状態や上部構造の咬合圧を長期的に追跡し、辺縁骨吸収が生じた際に、新たなモデルの作成・応力解析を行い、骨吸収とインプラント過重負担との関連性を追求する。
|