研究課題/領域番号 |
20K10037
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
後藤 崇晴 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (00581381)
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研究分担者 |
市川 哲雄 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90193432)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 咀嚼能率 / 唾液分泌量 / におい強度 / 唾液分泌関連因子 / におい検知 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は過去の研究においてエチルアルコール含有の市販の口中清涼剤と唾液分泌量との有意な関連を報告している。本研究ではこの結果を元に、におい物質としてアルコールに着目しそれに対応するにおいセンサを選択し、呼気中アルコール濃度を経時的に測定する。その臨床的プロセスと濃度の分析アルゴリズムを確定し、におい検知による唾液分泌量と咀嚼能率の同時推定を試みる。
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研究実績の概要 |
超高齢社会を迎えた我が国においては、サルコペニア、フレイルなどの対策が喫緊の最重要課題であり、歯科においても口腔機能低下症の概念が提唱され、その機能低下の中で唾液分泌量や咀嚼能率の評価は重要な項目である。本研究は、我々の過去の研究結果に基づいた独創的な仮説「水溶性のにおい物質を口に含んだ後、そのにおいの消失過程を定量的に測ることで、唾液分泌量と咀嚼能率を同時に推定できる」ことを証明し、その理論に基づき簡便で衛生的にかつ患者に不快な思いをさせることない唾液分泌量と咀嚼能率との同時推定法を開発することを目的とする。 2023年度では昨年度の結果をもとに、健常若年者を対象に、におい強度の減少率(以下ORRと略す)と唾液分泌量関連因子との関連を調査し、本法の有効性を検討した。被験者は、健常成人20名とした。におい物質はエチルアルコールとし、エチルアルコール含有のグミゼリーを試作し被験食品とした。グミゼリーを10秒間咀嚼、嚥下させた後の呼気中のアルコール濃度をアルコール検知器で測定した。得られた結果から直後のにおい強度に対する60秒ごとのORRを算出した。唾液分泌関連因子として、安静時・刺激時唾液分泌量、口腔湿潤度を測定した。 ORRと唾液分泌関連因子との関連に関して、嚥下直後から1分間のORRと口腔湿潤度、安静時唾液分泌量、刺激時唾液分泌量とのSpearmanの相関係数はそれぞれ、0.470、-0.048、-0.011であり、嚥下1分後から2分後のORRと口腔湿潤度、安静時唾液分泌量、刺激時唾液分泌量とのSpearmanの相関係数はそれぞれ、0.048、0.105、0.022であり、嚥下直後から1分間のORRと口腔湿潤度との間にのみ有意な正の相関関係が認められた。以上の結果より、におい物質咀嚼後のにおい強度の測定により口腔湿潤度を推定できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、昨年健常若年者を対象に得られた結果をもとにさらに検討を進め、本法の信頼性を確認した。しかし、昨年までの新型コロナウイルス感染症の影響もあったため、当初の目標である高齢者を対象とした段階まで進んでおらず、被験者の確保に時間を要しており、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、健常若年者での結果をもとに研究の最終段階として高齢者においても、外的基準として、従来のグルコラム、グルコセンサーを用いた咀嚼能率、および安静時・刺激時唾液分泌量、口腔湿潤度を唾液分泌関連因子として設定し、本法の有効性と若年者との結果の比較を行う事を予定している。また、2022、2023年度に被験者とした若年者および今年度に被験者とする高齢者を対象に、再テスト法を用いた信頼性の検討を予定しており、最終的な本法の信頼性、妥当性を検証することを予定している。
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