研究課題/領域番号 |
20K10077
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
堀田 康弘 昭和大学, 歯学部, 准教授 (00245804)
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研究分担者 |
中納 治久 昭和大学, 歯学部, 教授 (80297035)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | CAD/CAM / 3Dプリンタ / デジタルデータ / コンポジットレジン / 相互運用 / セラミックス / バイオコンポジットレジン |
研究開始時の研究の概要 |
CAD/CAM冠やデジタル印象採得装置、3Dプリンタなど歯科のデジタル化は急成長しているが、安全性等に十分なエビデンスがない。そこで、ISO 18618へのデータの変換テーブルを作成し、様々なソフトウエアの出力データを相互変換できるソフトウエア開発を行い、日本の実情に沿う項目をISO/TC106に改定要求していくことで、CAD/CAMやインプラント、矯正領域のデータも、電子カルテシステムに統合可能となり、国の成長戦略のビックデータ活用の足がかりとなる。また、3Dプリンタ用材料として、生体適合性樹脂材料とセラミックス系材料の開発と安全性評価を行い、長期間利用できる材料の薬機法承認を目指す。
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研究実績の概要 |
現在、歯科で利用されてきた貴金属の高騰は、日本の歯科における保険診療予算を圧迫し、脱貴金属に向けた取り組みが様々行われてきた。その一つが、2016年に始まったCAD/CAM冠の保険適用であるが、今ではインレー修復にまで、その利用範囲が広がるっている。世界的に見ても、デジタル歯科の流れは急速に進んでいるが、そのデータ管理に関する相互運用については、一定の基準がなく問題となっている。そのため2018年には、CAD/CAMシステムで使用するデータの相互運用規格のISO 18618が制定されたが、まだ、それを全面的に採用しているメーカーは登場していない。その一番の理由としては、現在オープンシステムとしてやり取りされているデータが、単に製作する形状データに過ぎないため、進歩の速い歯科用CAD/CAMシステムにおける利用形態の実情に合っていないことがあげられる。そこで、日本の実情に沿う項目をISO/TC 106会議に追加改定を要求している。これにより、CAD/CAM冠やインプラント、矯正領域のデータも、電子カルテシステムに統合可能とし、国の成長戦略でもあるビックデータ活用の足がかりともなるため、現在、ISO/TC 106国際会議において、これらデータ項目を追加した改訂作業を行っている。 また、3Dプリンタ用材料として、現在薬機承認を受けている液槽光重合によるレジン系材料は、CAD/CAM冠に並ぶほどの強度や審美性が得られないため、CAD/CAMシステムによる歯冠修復材料として長期間の利用ができない状況にある。そこで、材料噴射方式により自由に色調コントロールができ、強度向上のためのフィラーを配合したコンポジットレジン材料の開発を行っている。現在、機械的性質と安全性の評価を行い、クラスⅡの管理医療機器として薬機法承認を受けるための検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
デジタルデータの規格化に関しては、令和4年中にISO/TC106国際会議において、新たに抽出した補綴形態などを追加したものが、ISO18618:2022として9月に発行された。これにより、最終的なデータ変換テーブルの設定が可能となったが、この規格申請時に不足していた項目について、さらに改訂作業が始まっている。一方で、3Dプリンタ材料の開発に関しては、非常事態宣言による材料入手や試験片作製に時間がかかっていたが、ようやく機械的性質や生物学的性質、積層造形体の微細形状の確認、フィラー含有率の調整といった基礎データ収集を行い薬機承認の申請を受けるための準備を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年9月に発行されたISO 18618:2022では、インプラント系治療と矯正治療に関連する項目をリストアップし組み入れる作業が行われ、特に、3Dプリンタを用いたサージカルガイドや、矯正用アライナーの項目が新規に追加されたことで、実際の臨床現場での利用状況に大幅に近づけることができた。これにより、当初予定していたデータの汎用システム化が実現可能となった。一方で、当初予定していた液相光重合方式の3Dプリンタ用材料に関しては、コロナ禍で材料提供が難しくなっていた状況であった。しかし、新規にインクジェット方式の3Dプリンタ材料の開発を始めたことから、この材料を用いた機械的性質や生物学的性質について検討している。この材料では、従来の液相光重合方式で問題となる色調再現や、材料の使用効率などの問題が解決されると考えられるため、現在までに収集しているデータをもとに薬機承認の申請を行っていく。
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