研究課題/領域番号 |
20K10080
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
中山 渕利 日本大学, 歯学部, 准教授 (10614159)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 嚥下機能 / 咀嚼機能 / 認知機能 / 骨格筋量 / サルコペニア / 咀嚼 / 嚥下障害 / 認知症 |
研究開始時の研究の概要 |
特別養護老人ホームおよび介護老人保健施設の入所者を対象に、認知機能および全身の筋肉量が咀嚼機能や普段の食事の摂取の状況に及ぼす影響について検討することを目的としている。この研究成果により、要介護高齢者が認知症や全身の筋肉量の低下がどの程度進行すると、固形食の摂取を継続することが危険になるかを明らかにできるため、その目安に従って食事形態を見直すことで、結果的に窒息事故を減らすことにつながると考えている。
|
研究実績の概要 |
調査対象者を日常的に摂取している食事形態をもとに常食群と嚥下調整食群に分け、年齢、性別、要介護度、BMI、MNA-SF、ABC認知症スケール、アイヒナー分類、ふくらはぎ周囲長(CC)、握力、ASMIおよび咬筋、舌、オトガイ舌骨筋の厚みについて群間比較し、食事形態との関連性を検討した。その結果、要介護度、BMI、MNA-SF、CCおよびABC認知症スケールのドメインAにおいて、常食群と嚥下調整食群の間に有意差を認めた。また、煎餅を咀嚼した際の咀嚼開始から一回目の嚥下までの時間(咀嚼時間)、咀嚼回数、1フレーム(0.033秒)あたりのオトガイ部の変化量の平均値、最大値、合計、速度の平均値、最大値、変動係数、および咀嚼運動パターンを計測した。その結果、常食群は嚥下調整食群に比べて、咀嚼時間と合計変化量が有意に小さく、咀嚼回数/咀嚼時間が有意に大きかった。また、常食群は嚥下調整食群より楕円形または涙滴状の咀嚼運動パターンが占める割合が有意に高かった。これらの研究成果は日本老年歯科医学会第33回学術大会と第28回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会で発表した。 さらに、千葉県柏市にある老人保健施設で調査を行った。この施設は2年前にも同施設で調査を行っており、今回の調査対象者は2年前に調査にご協力いただいた方のみとした。令和2年の調査では51名(平均89.7歳、男性13名、女性38名)であったが、そのうちの15名は退所していたため、令和4年の調査対象者は36名(平均年齢90.7歳、男性9名、女性27名)であった。改訂長谷川式簡易知能評価スケールおよびABC認知症スケールは令和2年に比べて令和4年は有意な低下を認めた。一方で、BMI、骨格筋量指数、ふくらはぎ周囲長については、令和2年と令和4年で有意差はなかった。令和5年度はこられが咀嚼運動に及ぼす影響について検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度では新たに千葉県柏市にある老人保健施設で調査許可をいただき、36名の追跡調査を行うことができた。これにより、これまで横断研究での調査結果に加えて、縦断研究の調査結果でも分析を行うことが可能となった。令和5年度は、令和3年度に調査を行った東京都文京区にある特別養護老人ホームで追跡調査を予定しており、協力いただく施設職員との打ち合わせを開始している。また、令和2年、3年に行った横断研究の結果については、現在論文を執筆中であり、令和5年度に国際的な学術雑誌に投稿を予定している。 上記の理由により、進捗状況としてはおおむね順調に進展しており、令和5年度の調査もおおむね予定通りに行えるものと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
1.研究成果の発表 令和2年および3年の調査で得られた63名のデータをもとに、常食または軟菜食を摂取している群(常食群)と嚥下調整食を摂取している群(嚥下調整食群)で群間比較したのち、有意差のあった項目を説明変数、嚥下調整食摂取を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。さらに、ROC曲線を用いてカットオフ値を求めた。その結果、ロジスティック回帰分析において咀嚼運動パターンに有意差を認め、楕円形の咀嚼運動パターンの比率が63%のとき、AUCが0.714となることが明らかになった。この成果は第29回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会にて発表を予定している。 2. データ解析 令和4年度に収集した煎餅咀嚼中の下顎運動の映像を2次元運動解析ソフトウェアで解析し、咀嚼開始から一回目の嚥下までの時間(咀嚼時間)、咀嚼回数、1フレーム(0.033秒)あたりのオトガイ部の変化量の平均値、最大値、合計、速度の平均値、最大値、変動係数、および咀嚼運動パターンを計測する。 3.追跡調査 東京都文京区にある特別養護老人ホームで追跡調査を予定している。この施設は、令和3年にも調査を行っており、その時の対象者は36名であったが、17名がすでに退所していたため、令和5年度の調査では、現在も入所中の19名を対象に調査を予定している。経口摂取状況についての聞き取り調査、認知機能と骨格筋量の測定、煎餅咀嚼中の下顎運動の映像を収集する予定である。
|