配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
研究実績の概要 |
日本人のCL/P患者78名、CP患者18名とその両親を対象にしたトリオ解析を、次世代シークエンサーを用いて行なった。解析を行なった遺伝子は、IRF6(1q32.2), WNT5A (3p14.3), WNT9B (17q21.32), TP63(3q28 ), MSX1(4p16), TFAP2A (6p24.3), PAX9 (14q12-q13), DLX3 (17q21.33), DLX4 (17q21.33), MN1 (22q12.1)の10遺伝子とした。解析領域は遺伝子をコードするエクソン以外に、非コード領域であるイントロンを含めた。遺伝情報から、マイナーアレル頻度0.5%以上を除外した。検出されたバリアントはサンガーシークエンスにより確認を行なった。結果は、1人のCL/P患者にDLX4のミスセンス変異359C>T(P120L)を認めた。発見されたCL/P患者におけるDLX4のミスセンス変異は他の遺伝子の転写を活性化または不活性化することで形態形成の制御遺伝子の機能を持つとされるホメオドメインに存在しており、Polyphen2、SIFT、PROVEANを用いたin silico解析の結果にて分子機能に影響を及ぼす有害な変異であった。また、3人のCL/P患者と2人のCP患者で、それぞれ非コード領域の保存配列において新規のバリアントを認めた。高度に保存された配列は生物の進化において維持されてきたことを意味しており、遺伝子発現量をつかさどるエンハンサーやプロモーターとしての機能を持つとされた。結論としてわれわれは日本人のみの口唇裂・口蓋裂患者の遺伝子解析を、次世代シークエンサーを用いて行い、過去にGWASでは検出できなかった新規の変異とバリアントを発見することができた。しかし、口唇裂・口蓋裂の発症原因は明らかになっていない。今後は、ロングリードシークエンサーでDNAメチル化解析に移行し,DNAの配列だけではなくDNAのメチル化で多因子遺伝子疾患の発症メカニズムを解明する。
|