研究課題/領域番号 |
20K10143
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
大場 誠悟 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (80363456)
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研究分担者 |
住田 吉慶 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (50456654)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 放射線性顎骨壊死 / E-MNC / 細胞治療 / 高機能細胞(E-MNC) / マイクロCT / 骨シンチ / 多機能細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
まず、7~9週齢のC3Hマウス(♀)の頭頸部に放射線を単回照射することでORNJモデルを作出する。下顎第一大臼歯を抜歯することにより実臨床に近い感染を伴うORNJを発症させる。最適な線量を決定するための条件設定を行う。 ついで、8週齢のC3Hマウス(♂)から採血し、E-MNCを調整し、これを局所投与と全身投与する。投与後6週、12週後に顎骨を摘出し、マイクロCTおよび病理組織学的に骨組織の再生を評価する。移植細胞の動態を評価するために、FISHと蛍光免疫染色による2重染色を行いE-MNCの局在を観察する。対照群としてMSCを投与し、E-MNCによる治療効果と比較検討する。
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研究実績の概要 |
放射線性顎骨壊死モデルの策定:前年度までに、マウスにガンマ線を照射したのち、1週間後に露髄処置を行い、感染を惹起させ、照射後8週のマウスを放射線顎骨壊死モデルとして策定した。マイクロCTおよび、骨シンチを用いた評価でも、左右の顎骨で所見が異なり、露髄処置をおこなった顎骨に放射線性顎骨壊死が生じていることが示唆された。このモデルを用いて、脱灰組織標本を作成して、HE染色をおこなったところ、露髄処置をおこなった周囲の皮質骨は不規則に吸収破壊されており、明らかに正常とは異なる所見を呈していた。しかしながら、骨空砲化が顕著ではなく、明確な骨壊死所見を呈しているわけではなかった。そのため、モデルの策定を再度施行することとした。12Gy単回のγ線照射では放射線性の炎症を呈しても、顎骨壊死を誘導するのは不十分であると判断して、12Gyの照射+露髄処置+12Gyの照射を施行した。現在画像検査と組織検査の結果を待っている段階である。 高機能細胞治療薬:同系統のマウスの末梢血からE-MNCを抽出した。E-MNCはヘテロな細胞集団であり、細胞培養前後のM1/M2マクロファージの含有率を検討した。M1マクロファージ(CD11b+/CD206-)は、培養前では14.1%で、培養後では7.7%であった。一方、M2マクロファージ(CD11b+/CD206+)は、培養前では1.1%で、培養後では5.1%であった。M1/M2の比率は、培養前で13.1、培養後では1.6であった。CD3+細胞の存在は、培養前で26.7%であり、培養後では55.0%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1. 過去の報告に倣ってモデルの作成を試みたが、再現性に乏しい結果であった。そのため、放射線性顎骨壊死モデルの作成にγ線の線量などの設定や感染処置の追加などを行う必要があり、予定より時間を要した。 2. 壊死の評価のためには、マイクロCTのみでの評価が困難であり、骨シンチでの評価が必要であったため。 3. モデルの確立の評価は最終的には標本の確認が必要であり、その都度照射線量や感染確立処置が必要であったため。
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今後の研究の推進方策 |
放射線性顎骨壊死モデルの策定:これまでは、8週齢のマウスを使用して照射を行なっていた。しかしながら、骨シンチや細胞投与を行う際には、既に16-24週となっており、放射線照射の影響もあってか、尾静脈からの薬剤あるいは細胞投与がかなり困難であり再現性にかけていた。そのため、照射を行う週齢を4週に変更して行うこととした。骨シンチの集積は軽度であったため、評価はマイクロCTと組織評価で行うこととする。まずは早期に再現性の高い放射線性顎骨壊死モデルを策定する。 投与するE-MNCの決定および投与:これまでの結果、培養処置後には明らかにT細胞が増加し、M1マクロファージ優勢からM2マクロファージ優勢の方向へとシフトしていることが明確にできた。放射線性顎骨壊死の状態では、抗炎症効果も重要であるが、壊死した骨組織を分離除去する方向へと誘導することが重要であると考えられる。そのため、処置後のM1/M2比が1.6である状態が最適であると考えられるため、この細胞群を尾静脈より投与する。投与後はマイクロCTおよび組織評価で細胞治療の効果を検討する。細胞の投与は2回の照射の終了後に行う。投与のタイミングは、照射終了直後、が骨壊死が認められたのちの2つのタイムコースで行う。
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