研究課題
基盤研究(C)
口腔癌は早期に周囲組織に進展する浸潤性の高い悪性腫瘍で、顎骨や咀嚼筋など重要臓器の切除が必要となることから、口腔機能が大きく損なわれる。そのため、口腔の機能温存に資する新規治療法が求められる。免疫チェックポイント阻害薬は、口腔癌に対する免疫治療薬として近年その臨床効果が示されている。しかし、いまだ効果は限定的で、本薬剤に対する抵抗機序の解明が急がれる。本研究は、免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍効果を最大限に発揮するための新規治療法の開発を目的とし、免疫チェックポイント阻害薬に対する抵抗性の機序の一端を、 口腔癌宿主免疫応答における免疫逃避機構の解析により明らかとする。
本研究は、口腔癌の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)に対する治療抵抗機序の解明を目的とした。そこで口腔がん担がんモデルを用い、ICIの治療抵抗性に影響を与える因子の一つと考えられる骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)を標的化し、詳細な機能解析を行った。MDSCはがんの進行に伴い、末梢血中や腫瘍局所で顕著に集簇しており、T細胞免疫応答の減弱と関連していると推測された。またMDSCを標的化して、ゲムシタビンを用いた選択的な阻害実験を行ったところ、減弱したT細胞免疫応答が回復していた。以上から、MDSCを標的化することが、口腔がんにおけるICIの効果を最大化する有効な手段となる可能性が示唆された。
口腔癌は早期に周囲組織に進展する極めて浸潤性の高い悪性腫瘍で、治療は顎骨や咀嚼筋などの口腔周囲組織の広範切除が必要となることが多く、口腔機能が大きく損なわれる。そのため、患者のQOLの面から口腔の機能温存に資する新規治療法が求められている。免疫チェックポイント阻害薬は、口腔癌に対する有効な免疫治療薬として注目されているが、その臨床効果はいまだ限定的であり、本薬剤に対する抵抗機序の解明が急がれる。本研究は、基礎的研究ではあるが、免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍効果を最大限に発揮するための新規治療法の開発に繋がる可能性があり、その社会的、学術的意義は大きい。
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British Journal of Oral and Maxillofacial Surgery
巻: 61 号: 4 ページ: 320-326
10.1016/j.bjoms.2023.03.012
Gan To Kagaku Ryoho
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