研究課題/領域番号 |
20K10159
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
宮前 雅見 大阪教育大学, 教育学部, 特任教授 (20298821)
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研究分担者 |
百田 義弘 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (60247880)
金田 一弘 大阪歯科大学, 歯学部, 講師(非常勤) (90533886)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 揮発性麻酔薬 / 心筋 / 虚血再灌流障害 / オートファジー / ユビキチンープロテアソーム系 / 蛋白処理 / モルモット / 心筋保護 / ユビキチンープロテアソーム / 虚血 |
研究開始時の研究の概要 |
オートファジーがミトコンドリアなどの大きな細胞内器官をリソゾームを介して貪食するのに対して、小さいタンパク質はユビキチンープロテアソーム系(UPS)により修飾を受け分解される。揮発性麻酔薬の虚血心筋保護作用にはオートファジー、UPS共に関与することが明らかになっている。虚血を受けた心筋の心機能回復には損傷蛋白質の適切な処理による恒常性維持が必須である。しかし、揮発性麻酔薬の心保護においてその処理機構は解明されていない。オートファジーとUPSの相互作用を明らかにすることで損傷蛋白質処理機構を解明し創薬へとつなげ、周術期心筋保護に最も有効な麻酔方法の確立を分子生物学的手法にて解明する。
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研究実績の概要 |
揮発性麻酔薬の虚血心筋保護作用にはオートファジー、Ubiquitin proteasome system (UPS)共に関与することが明らかになっている。虚血心筋の心機能回復には損傷蛋白質の適切な処理による恒常性維持が必須である。しかし、揮発性麻酔薬の心保護においてその処理機構は解明されていない。本研究の目的はオートファジーとUPSの相互作用を明らかにし、損傷蛋白質処理機構を解明し周術期心筋保護に最も有効な麻酔方法を解明することである。研究代表者の宮前は大阪歯科大学歯科麻酔学講座と共同研究を進めている。しかし、令和5年度は新型コロナウイルスによる行動制限が解除されたが、これまでの予備実験が完遂できていないため予定通りに実験は進まなかった。これまでに我々はsevofluraneと虚血再灌流モデルを用いて揮発性麻酔薬の心筋保護効果のメカニズムについて精力的に研究を進めて来た。Sevofluraneはアポトーシスを抑制すること、sevofluraneを投与した心筋細胞の単離ミトコンドリアを用いた実験ではsevofluraneがミトコンドリア膜透過性遷移性孔の開口を強く抑制することが判明した。さらにSevofluraneの心筋保護効果は長時間虚血で消失するが、我々はオートファジー誘導剤によりこの効果を回復させ、オートファジーの関与も明らかにした。電子顕微鏡では回復した群ではオートファゴゾームが多数観察された。また、sevofluraneはoxygen free radicalを介してオートファジーを亢進させることも解明した。これらの知見を基に虚血心筋の機能回復に必須な損傷蛋白質の適切な処理による恒常性維持におけるUPSの関与の解明を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究開始直前に共同研究者である朝日大学内科学教授の竹村元三の死去により大きく方針の転換を余儀なくされている。また、新型コロナウイルス感染症による行動制限の解除により大学間の交流ができるようになったが、人員不足から実験は困難を極めている。さらに、渡航の制限は解除されたが、この2~3年のブランクによりアメリカの研究共同者のDr. Vincent M. Figueredoとの交流も難しくなりCa2+動態実験もできない状態が続いている。これらの事情により研究は大きく遅れている。新型コロナウイルス感染症による規制が解除されたので今後は活発に研究を進めて行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画の遅れを取り戻すために全力を注ぐ予定である。現在進行中の大阪歯科大学歯科麻酔科学講座の百田教授との共同研究を主体に進めて行く。モルモットLangendorff灌流心にて虚血再灌流実験を行いオートファジー阻害薬(3-MAなど数種)、UPS阻害薬(PS-519など)および両剤の同時投与を虚血前全投与してセボフルランの保護効果が減弱するかを梗塞サイズで判定する。再灌流後、心筋を採取しATP-dependent proteasomal activity、ubiquitin-conjucated proteinsを測定する。さらに虚血前と再灌流後の心筋組織を採取してEPTA (ethanolic phosphotungstic acid) stainによるタンパク質凝集、電顕でオートファゴゾーム、オートリソソームの出現の程度を調べる。その後、sevofluraneの虚血心筋保護効果においてオートファジー、UPSの関係について詳細なメカニズムの解明に全力を注ぐ予定である。このメカニズムが解明されれば冠動脈疾患を有する患者の周術期の管理に大きな戦略の一つとなる。オートファジーの最も大きな指標であるオートファゴゾームの出現度を電子顕微鏡にて観察する。また、蛋白aggregationが2群でどのような変化をするのかを検討する。これらの発現と梗塞サイズの関係を明らかにする。さらに、これまで提唱されている心筋保護のメカニズムの中で特にミトコンドリアを中心に研究を進めて行く予定である。ミトコンドリアの生死に大きく関与するmitochondrial permeability transition pore (MPTP)の開口に関して詳細に検討する。特にオートファジー、UPSがミトコンドリアMPTP開口にどのように関与するのかを明らかにしたい。
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